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[O16-5]一般診療所における便失禁診療

甲田 貴丸 (医療法人社団甲藍会甲田医院)
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便失禁診療ガイドライン2024年版では本邦における65歳以上の便失禁の有病率は男性8.7%、女性6.6%とされている。便失禁診療ガイドラインの2017年版の発行以降、一般内科小児科の当診療所においてもその内容に沿った診療を行ってきた。
臨床的初期評価として内服薬の聴取、肛門診察を含む身体診察を行い必要であれば大腸内視鏡検査による器質的疾患の除外をしている。
肛門診察では糞便塞栓に伴う溢流性の漏出性便失禁をまず除外しDigital Rectal Examination Scoring System(DRESS)による評価、ブリストル便性状スケールによる普段の便性の評価を行う。便失禁に伴う肛門周囲の皮膚炎は、疼痛も強く患者のQOLをさらに低下させるために初診時からスキンケアの対応を行うようにしている。
軟便を伴う便失禁に対しては、便の性状を軟化させるカフェインやアルコールを控え食物繊維の摂取するように当院で作成した食事生活指導のパンフレットを用いて説明している。
また患者に食事排便日誌の記載を行ってもらい、食事やアルコールによる排便の変化を共有するようにしている。薬物療法については、ロペラミド塩酸塩の投薬を中心としている。
2023年1月から2025年4月までに便失禁を主訴として9名の患者が当院を受診していた。
その内、2名のみが継続して受診されているが食事指導、ロペラミド塩酸塩の内服にて2名とも
6カ月以上便失禁がない状態が続いている。