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[O17-1]当院における回腸嚢肛門吻合術での回腸嚢作成手技の妥当性に関する検討

磯部 聡史, 吉敷 智和, 小嶋 幸一郎, 麻生 喜祥, 飯岡 愛子, 若松 喬, 本多 五奉, 片岡 功, 代田 利弥, 中山 快貴, 後藤 充希, 須並 英二 (杏林大学医学部付属病院下部消化管外科)
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・はじめに
潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UCAN)に対して2期的な大腸全摘、回腸嚢肛門吻合術(IAA)が報告されている。IAAでは回腸嚢が肛門まで到達するかが問題となるが、回腸腸間膜の切開や血管切離を行い、回腸嚢吻合予定部分を肛門側に伸ばす工夫が報告されている。その際、回腸嚢先端が恥骨下縁2cm尾側に到達することを目安にしている。
・目的
IAAにおいて、恥骨下縁2cm尾側を目標とした回腸嚢作成方法の妥当性について術前CT画像の評価から検証する。
・対象と方法
2020年1月から2024年12月までに当院でUCANに対してIAAを施行した14例を対象とした。術前CTから①SMA根部から臍部、②臍部から恥骨下縁の距離、③SMA根部から岬角、④岬角から肛門縁を測定し、A:SMA根部から恥骨下縁+2cmまでの距離(①+②+20mm)、B:吻合に必要な肛門縁までの距離(③+④)とした。A-Bを吻合に不足する距離として解析した。
・結果
対象14例中、全例で回腸嚢の間膜・血管処理を行っていた。男性9例、女性5例であり、年齢、BMIの中央値はそれぞれ45.5歳(25~76)、24.7(17~28.7)であった。全例に一時的人工肛門を造設し、縫合不全など回腸嚢の合併症は認めなかった。
A-Bは24.5mm(中央値;-9~55)であった。詳細は、0~20mmが3例、20~40mmが9例、40mm~が1例であった。また1例のみが-9mmであった。 14例中13例でAがBを上回り、吻合に必要な長さが確保されていた。
・考察、まとめ
回腸嚢の間膜・血管処理を行い、恥骨下縁2cm尾側を目標に回腸嚢先端を延長することで、ほぼ全例において吻合に必要な回腸嚢の距離が得られ、現行の術式は妥当と考えられた。今後も画像評価による到達性の予測方法について検証する必要がある。