Presentation Information
[O17-7]潰瘍性大腸炎関連直腸癌に対する側方リンパ節郭清の治療成績
岡田 聡1, 品川 貴秀1, 小松 更一1, 内野 基2, 池内 浩基2, 茂田 浩平3, 岡 志郎4, 二見 喜太郎5, 板橋 道朗6, 渡辺 和宏7, 渋谷 雅常8, 大北 喜基9, 若井 俊文10, 水内 祐介11, 岡本 欣也12, 山田 一隆13, 野口 竜剛1, 杉原 健⼀14, 味岡 洋⼀15, ⽯原 聡⼀郎1 (1.東京大学腫瘍外科, 2.兵庫医科大学病院炎症性腸疾患センター, 3.慶應義塾大学病院一般・消化器外科, 4.広島大学大学院感染症科内視鏡医学, 5.福岡大学筑紫病院外科, 6.東京女子医科大学病院消化器外科, 7.東北大学病院総合外科, 8.大阪公立大学大学院医学研究科消化器外科, 9.三重大学医学部附属病院消化管外科, 10.新潟大学消化器外科, 11.九州大学大学院臨床・腫瘍外科, 12.JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター, 13.高野病院消化器外科, 14.東京科学⼤学, 15.新潟⼤学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野)
【背景・目的】進行下部直腸癌では、一定頻度で側方リンパ節転移が生じ、転移リスクのある直腸癌に対しては側方郭清(LLND)が推奨されている。一方、潰瘍性大腸炎(UC)関連癌に対する標準術式は大腸全摘であり、UC関連直腸癌に対するLLNDの意義は明らかではない。そこで今回、全国規模のデータベースを用いて本邦におけるUC関連直腸癌に対するLLNDの治療成績を明らかにすることを目的とした。
【対象・方法】大腸癌研究会プロジェクト「炎症性腸疾患合併消化管癌のデータベース作成と臨床病理学的研究」に参加した全国43施設において、1983年から2020年にUC関連大腸腫瘍と診断された1249例の中の直腸癌415例を対象とした。まずUC関連直腸癌に対するLLND施行率と側方リンパ節転移陽性率を検討した。次にLLND施行群を側方リンパ節転移陽性群と転移陰性群に分け、臨床病理学的特徴、長期予後を比較検討した。
【結果】UC関連直腸癌415例中LLNDは45例(10.8%)に施行されていた。pT3-4症例に対するLLND施行率は139例中33例(23.7%)であった。一方でpTis-T2症例276例中12例(4.3%)に対してもLLNDが施行されていた。LLND施行群45例中、側方リンパ節転移は11例(24.4%)に認め、全例がpT3-4症例であった。LLND施行群のうち、側方リンパ節転移陽性11例と転移陰性34例を比較すると、臨床病理学的に転移陽性群はpT3以上が有意に多く(100% vs 64.7%, P<0.0046)、組織型は転移陽性群においてpor/sig/mucが有意に多かった(70% vs 17.7%, P=0.002)。癌遺残については、R0達成率はLLND群と非施行群において有意差はなかった(81.8% vs 91.2%, P=0.41)。予後に関しては、5年生存率[30.8% vs 82.8%,(P=0.0005 )]、5年無病生存率[0% vs 72.4%, (P<0.001)]ともに転移陽性群が転移陰性群より有意に不良だった。術後化学療法の施行は両群間で有意差はなかった[54.6% vs 40.6%,(P=0.42 )]。
【結語】UC関連直腸癌に対するLLND施行率は、側方郭清が推奨されるT3-4症例において23%だった。LLND転移陽性群は進行症例が多く、組織型はpor/sig/mucが多く、予後は極めて不良だった。
【対象・方法】大腸癌研究会プロジェクト「炎症性腸疾患合併消化管癌のデータベース作成と臨床病理学的研究」に参加した全国43施設において、1983年から2020年にUC関連大腸腫瘍と診断された1249例の中の直腸癌415例を対象とした。まずUC関連直腸癌に対するLLND施行率と側方リンパ節転移陽性率を検討した。次にLLND施行群を側方リンパ節転移陽性群と転移陰性群に分け、臨床病理学的特徴、長期予後を比較検討した。
【結果】UC関連直腸癌415例中LLNDは45例(10.8%)に施行されていた。pT3-4症例に対するLLND施行率は139例中33例(23.7%)であった。一方でpTis-T2症例276例中12例(4.3%)に対してもLLNDが施行されていた。LLND施行群45例中、側方リンパ節転移は11例(24.4%)に認め、全例がpT3-4症例であった。LLND施行群のうち、側方リンパ節転移陽性11例と転移陰性34例を比較すると、臨床病理学的に転移陽性群はpT3以上が有意に多く(100% vs 64.7%, P<0.0046)、組織型は転移陽性群においてpor/sig/mucが有意に多かった(70% vs 17.7%, P=0.002)。癌遺残については、R0達成率はLLND群と非施行群において有意差はなかった(81.8% vs 91.2%, P=0.41)。予後に関しては、5年生存率[30.8% vs 82.8%,(P=0.0005 )]、5年無病生存率[0% vs 72.4%, (P<0.001)]ともに転移陽性群が転移陰性群より有意に不良だった。術後化学療法の施行は両群間で有意差はなかった[54.6% vs 40.6%,(P=0.42 )]。
【結語】UC関連直腸癌に対するLLND施行率は、側方郭清が推奨されるT3-4症例において23%だった。LLND転移陽性群は進行症例が多く、組織型はpor/sig/mucが多く、予後は極めて不良だった。