Presentation Information
[O18-3]当院でのクローン病に対する腸管手術症例の検討
皆川 知洋1,2, 渡辺 憲治2,3, 魚谷 倫史1, 祐川 健太1, 渡辺 徹1, 三輪 武史1, 橋本 伊佐也1, 渋谷 和人1, 吉岡 伊作1, 奥村 知之1, 藤井 努1 (1.富山大学学術研究部医学系消化器・腫瘍・総合外科, 2.富山大学附属病院IBDセンター, 3.富山大学炎症性腸疾患内科)
【はじめに】クローン病(以下CD)患者は増加傾向にあり,現在では7万人以上と言われている.手術症例数も増加し,より専門的な手術が求められるようになっている.当院では,2023年5月から炎症性腸疾患(以下IBD)センターを設立し,専門的な治療および手術手技の定型化を行っている.当院でのCDに対する手術手技と定型化前後の成績について報告する.
【対象と手術方法】2007年12月から2025年3月までに,当科でCDに対し腸管切除を施行した46例を対象とした.定型化前を前期群,定型化後を後期群とし,前期群は27例,後期群は19例であった.後期群は,病変部の確認や授動は単孔式の腹腔鏡下で,腸管切離と間膜処理は体外で行い,吻合は手縫いの端々吻合とした.
【結果】臨床的背景は1)性別は前期群:男女比(20:7),後期群:(17:2),p=0.19で有意差を認めなかった.2)手術時年齢は前期群33(15-54)歳,後期群44(19-66)歳,p=0.005と有意に前期群で若かった.3)罹病期間は前期群60.9(0-392)ヶ月,後期群112.6(3.2-338)ヶ月,p=0.35で有意差を認めなかった.4)手術方法は開腹:腹腔鏡で,前期群(22:5),後期群(0:19),p<0.0001と有意に後期群で腹腔鏡が多かった.手術成績は1)手術時間は前期群203(105-704)分,後期群226(128-376)分,p=0.36,2)出血量は前期群200(5-1895) g,後期群70(1-950) g,p=0.14で1),2)ともに有意差を認めなかった.3)術後合併症(Clavien-Dindo分類 Grade3以上)は,前期群5/27例,後期群0/19例,p=0.047で有意差を認めた.4)再発(吻合部の狭小化,潰瘍)は,前期群11/27例,後期群0/19例,p=0.001と有意に後期群が少なかった.【結語】定型化後はCD grade3以上の合併症を認めなかった.後期群は観察期間が短く,症例数も少なく,今後症例を蓄積して検討する必要がある.
【対象と手術方法】2007年12月から2025年3月までに,当科でCDに対し腸管切除を施行した46例を対象とした.定型化前を前期群,定型化後を後期群とし,前期群は27例,後期群は19例であった.後期群は,病変部の確認や授動は単孔式の腹腔鏡下で,腸管切離と間膜処理は体外で行い,吻合は手縫いの端々吻合とした.
【結果】臨床的背景は1)性別は前期群:男女比(20:7),後期群:(17:2),p=0.19で有意差を認めなかった.2)手術時年齢は前期群33(15-54)歳,後期群44(19-66)歳,p=0.005と有意に前期群で若かった.3)罹病期間は前期群60.9(0-392)ヶ月,後期群112.6(3.2-338)ヶ月,p=0.35で有意差を認めなかった.4)手術方法は開腹:腹腔鏡で,前期群(22:5),後期群(0:19),p<0.0001と有意に後期群で腹腔鏡が多かった.手術成績は1)手術時間は前期群203(105-704)分,後期群226(128-376)分,p=0.36,2)出血量は前期群200(5-1895) g,後期群70(1-950) g,p=0.14で1),2)ともに有意差を認めなかった.3)術後合併症(Clavien-Dindo分類 Grade3以上)は,前期群5/27例,後期群0/19例,p=0.047で有意差を認めた.4)再発(吻合部の狭小化,潰瘍)は,前期群11/27例,後期群0/19例,p=0.001と有意に後期群が少なかった.【結語】定型化後はCD grade3以上の合併症を認めなかった.後期群は観察期間が短く,症例数も少なく,今後症例を蓄積して検討する必要がある.