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[O18-4]穿孔・膿瘍形成を伴うクローン病に対する術式選択と短期成績

浅井 竜一1, 田島 ジェシー雄2, 横井 亮磨2, Okuma Yusuke2, 鷹羽 律紀2, 横山 亜也奈2, 水谷 千佳2, 松本 圭太2, 久野 真史2, 田中 善宏2, 村瀬 勝俊3, 松橋 延壽2 (1.岐阜大学大学院医学系研究科先端ゲノム医療開発学講座、消化器外科・小児外科, 2.岐阜大学大学院医学系研究科消化器外科・小児外科, 3.岐阜大学大学院医学系研究科高度先進外科学)
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【背景】膿瘍形成を伴うクローン病(CD)に対する腹腔鏡手術は難易度が高く、治療指針においても適応は施設や術者の経験を考慮して決定することが望ましいとされている。当院はIBDセンターとしての歴史は浅いものの、膿瘍形成例に対しても以前より腹腔鏡手術を施行してきた。今回、穿孔症例を含めて、術式選択や臨床経過、短期成績を検討し報告する。
【対象】2015年1月から2024年12月までに当院にて施行したクローン病に対する手術68例中、穿孔例6例、膿瘍形成例9例。腹腔鏡手術:10cm以下の小切開と定義。観察期間中央値:20ヶ月。
【結果】腹腔鏡手術は穿孔例:1/6例、膿瘍形成例:6/13例にて施行。以下、中央値(範囲)にて示す。[穿孔例 6例]全例が2018年までの症例。腹腔鏡手術はバルーン拡張後の穿孔に選択。年齢48歳(21-56)、性別:男性2例、女性3例。CD罹患:3年(0-22)、未診断3例。小腸型が3例で最多。穿孔部:回腸5例で最多。全例診断日に手術。手術時間167.5分(99-278)、出血量82.5g(30-600)、Clavien-Dindo分類Ⅱ以上の合併症:3例。術後在院日数:20.5日(11-36)。[膿瘍形成例 9例]7例が2023年以降。腹腔鏡は7/9例、計画的開腹移行が1例。年齢34歳(17-62)、性別:全例男性。CD罹患:8年(0-39)、未診断2例。小腸大腸型7例、穿通腸管は回腸5例で最多。膿瘍形成部:腹腔内4例、腹腔外6例(重複あり)。診断から手術:45日(0-167)。手術時間368分(77-513)、出血量100g(0-513)、Clavien-Dindo分類 Ⅱ以上の合併症:3例。術後在院日数:18日(10-36)。
【結語】穿孔性腹膜炎を伴うCDに対する腹腔鏡手術は、全身状態が安定していることに加え、穿孔直後、腸管病変がスクリーニングされている症例など適応は限られる。一方、膿瘍形成例に対する腹腔鏡手術は保存的治療中に十分な精査が可能で、膿瘍の縮小が得られることも多く安全に施行しうる。