Presentation Information
[O19-4]直腸癌Total Neoadjuvant Therapyの予後に対する影響
中守 咲子, 出嶋 皓, 坂元 彗, 加藤 博樹, 高雄 美里, 中野 大輔, 川合 一茂 (がん・感染症センター都立駒込病院)
【背景】進行下部直腸癌に対するTotal Neoadjuvant Therapy (TNT)の普及に伴い,合併症やpCR率などの短期成績についてはEvidenceが集積されつつあるが,Up front surgeryと比べたTNTの真の予後改善効果については検討が不十分である.当院では進行下部直腸癌のうち,T4, N2以上のリンパ節転移,CRM≦1mm,EMVI陽性の症例に対し,選択的にTNTを導入している.
【目的】当院で施行したTNTと従来の直腸癌治療の予後を比較する.
【対象】下部直腸癌に対しTNT後手術を施行したT群:40例 (2020-2025年)と,Up front surgeryを施行したU群:309例 (2015-2025年)を対象に傾向スコアマッチングを行い,T群26例とU群78例 (計104例)を最終解析対象として,治療開始日を解析の起点とした中期成績の比較検討を行った.調整因子は年齢,性別,cT, cNを用いた.TNTはShort-course RT 25Gy/5frとconsolidation CAPOXを基本とした.
【結果】マッチング前の患者背景はT群で若年,高度進行癌症例を多く認めたが,マッチング後の患者背景には有意差を認めなかった.3年全生存率はT群90.0%, U群89.7% (p=0.66),3年RFSはT群62.7%, U群69.2% (P=0.719),3年累積局所再発率はT群 20.4%, U群11.4% (p=0.94)といずれも有意差を認めなかった. TNT群において4例の遠隔再発 (肝,肺)と,2例の局所再発 (側方郭清省略後の側方リンパ節,膣合併切除後の膣再発)を認めた.
【結語】現時点の観察期間の範囲では,TNT群は従来の手術群と比較し中期成績において予後改善効果を認めなかった.症例の集積と長期成績の検討が必要である.
【目的】当院で施行したTNTと従来の直腸癌治療の予後を比較する.
【対象】下部直腸癌に対しTNT後手術を施行したT群:40例 (2020-2025年)と,Up front surgeryを施行したU群:309例 (2015-2025年)を対象に傾向スコアマッチングを行い,T群26例とU群78例 (計104例)を最終解析対象として,治療開始日を解析の起点とした中期成績の比較検討を行った.調整因子は年齢,性別,cT, cNを用いた.TNTはShort-course RT 25Gy/5frとconsolidation CAPOXを基本とした.
【結果】マッチング前の患者背景はT群で若年,高度進行癌症例を多く認めたが,マッチング後の患者背景には有意差を認めなかった.3年全生存率はT群90.0%, U群89.7% (p=0.66),3年RFSはT群62.7%, U群69.2% (P=0.719),3年累積局所再発率はT群 20.4%, U群11.4% (p=0.94)といずれも有意差を認めなかった. TNT群において4例の遠隔再発 (肝,肺)と,2例の局所再発 (側方郭清省略後の側方リンパ節,膣合併切除後の膣再発)を認めた.
【結語】現時点の観察期間の範囲では,TNT群は従来の手術群と比較し中期成績において予後改善効果を認めなかった.症例の集積と長期成績の検討が必要である.