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[O20-2]進行下部直腸癌におけるMRI所見を用いた側方リンパ節転移の診断能の検討

末田 聖倫1, 賀川 義規1, 安井 昌義2, 西村 潤一1, 三代 雅明1, 北風 雅敏1, 森 良太1, 深井 智司1, 河口 恵1, 長谷川 健太1, 菅生 貴仁1, 牛丸 裕貴1, 小松 久晃1, 柳本 喜智1, 金村 剛志1, 山本 和義1, 後藤 邦仁1, 小林 省吾1, 宮田 博志1, 大植 雅之1 (1.大阪国際がんセンター消化器外科, 2.関西労災病院消化器外科)
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【緒言と目的】
進行下部直腸癌に対しては本邦において側方リンパ節郭清が推奨されているが、機能温存と予後の両立を図るには、画像診断精度を高めることで、郭清の利益が得られる症例を適切に選択することが重要である。当院ではcT3以深かつanyN、またはcAnyTかつN陽性例に対して側方リンパ節郭清を実施しており、側方リンパ節の短径7mmを陽性のcut-off値としている。近年、MRI所見である壁外静脈浸潤(mrEMVI)陽性や、直腸間膜筋膜(MRF)までの距離が1mm未満であることが、側方リンパ節転移と関連するとの報告がある。本研究では、MRI所見に基づく側方リンパ節転移の検出能を評価することを目的とした。
【対象と方法】
2017年1月から2025年4月に当院で術前MRIを施行し、術前治療を行わずに側方リンパ節郭清を実施した直腸癌129例を対象とした。側方リンパ節短径、mrEMVI、MRF浸潤に着目し、それぞれの感度、特異度、陽性および陰性的中率を算出し、側方リンパ節転移との関連を後方視的に検討した。さらに、単変量および多変量解析を用いてリスク因子を抽出した。
【結果】
129例中、側方リンパ節転移陽性は27例に認められた。術前MRI所見として、側方リンパ節短径≥7mmは18例、mrEMVI陽性は26例、MRF陽性は23例であった。短径≥7mmの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率はそれぞれ44.4%、94.1%、66.7%、86.4%、mrEMVI陽性では51.9%、88.2%、53.8%、87.3%、MRF陽性では44.4%、89.2%、52.2%、85.8%であった。単変量・多変量解析では、短径≥7mmおよびmrEMVI陽性が独立したリスク因子として抽出された。さらに、短径とmrEMVIを併用した解析では感度35.0%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率83.6%と高い特異度と陽性的中率を示した。
【結語】
MRIによる側方リンパ節転移検出は有用であるが、短径評価単独では限界があり、mrEMVIを併用することで、郭清による利益が得られる症例をより的確に選択できる可能性が示唆された。