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[O20-3]術前MRIにおけるリンパ節のmrCRMと側方リンパ節転移の関連の検討
岩佐 陽介1,2, 小山 文一1,2, 高木 忠隆1, 藤本 浩輔1, 田村 昂1, 江尻 剛気1, 吉川 千尋1, 庄 雅之1 (1.奈良県立医科大学消化器・総合外科, 2.奈良県立医科大学附属病院中央内視鏡部)
【目的】側方リンパ節転移は予後不良因子である.当科では局所制御のため,術前CT,MRI検査でcT3以深,間膜内リンパ節(cN)腫大,5mm以上の側方リンパ節(cLLN)腫大を認める症例に対して両側側方郭清を行っている.近年,MRI検査でCRMやEMVIなど予後に関わる因子が報告されており,今回これらの画像所見を含めた側方リンパ節転移の予測因子に関する検討を行った.【対象と方法】2008年~2020年5月に術前にMRIを施行したStageⅠⅠ,ⅠⅠⅠ直腸癌切除例のうち,術前化学療法でpCR症例と,予後解析不能な症例を除いた側方郭清症例94例を対象とした.側方転移例は,術後病理検査の転移陽性例と,術後側方領域再発を認めた症例のいずれかと定義した.【結果】年齢は64(30-78)歳,男/女は51/43例,腫瘍下縁はRb/Pは69/25例,術前CEA/CA19-9高値は36/13例,初診時MRI所見において,術前T4は26(27.7%)例,術前cN/cLLN腫大は82(87.2%)/33(35.1%),mrEMVI grade3以上は37(39.4%)例,原発巣/リンパ節のCRM<1mmは49(52.1%)/35(37.2%)例であり,術前化学療法は38(36.2%)例に施行した.病理組織検査で側方転移陽性は11例(11.7%)であった.5年のOS/RFS/Local RFSは94.7%/76.6%/87.2%であり,術後5年の側方再発症例は6例(6.4%)であった.計17例の側方リンパ節転移症例に関して側方転移との関連を検討すると,X二乗検定では術前MRIにおけるcLLN腫大,EMVI grade高値,原発巣のCRM<1mm,リンパ節のCRM<1mmが関連する因子として抽出され,多変量解析ではcLLN腫大,リンパ節のCRM<1mmが独立したリスク因子として抽出された.次に抽出された2因子の組み合わせによる側方リンパ節転移リスクを算出すると,共に陽性の場合は陽性的中率が61.5%であり,どちらか一方が陽性の場合は21.4%,共に陰性の場合は2.6%であった.【結語】術前CRMが1mm以上であり,側方リンパ節腫大を認めない場合は側方郭清を省略できる可能性がある.