Presentation Information
[O21-1]当院における後期高齢者に対する結紮切除術(LE)の現状
松田 聡, 新井 賢一郎, 松永 篤志, 相澤 万里枝, 山下 真幸, 木村 浩三, 野中 雅彦, 中井 勝彦, 川上 和彦 (松田病院大腸肛門病センター)
<はじめに>
高齢者に対する痔核手術はALTA療法を中心とした低侵襲療法が選択されやすいが、ADLの良い患者では根治性も重視され結紮切除術(LE)を必要とする患者も少なくない。当院における後期高齢者に対するLEの現状を報告する。
<対象と方法>
2015年1月から2024年12月までの10年間にLEを施行した2679例のうち、後期高齢者(75歳以上)である292例を対象とし、74歳以下の2387例と手術成績を比較した。
<結果>
手術は腰椎麻酔下、ジャックナイフ体位で行い、LE3ヵ所を基本とした。
平均年齢79.3歳(75-93歳)、男女比117:175、LEの平均施行数2.3箇所、平均手術時間29.2分(3-64分)、平均出血量2.3ml(1-30ml)、平均入院期間9.7日(2-32日)、術後創痛(face scale)は1/3/5病日で1.0/0.8/0.8、Clavien Dindo分類(CD分類)Ⅲa以上の術後合併症として出血を13例(4.5%)に認めた。
<考察>
後期高齢者例は、74歳以下と比較し女性の手術が多かった(74歳以下は男女比1289:1098)。LEの数、手術時間、出血量、入院期間等に有意差はなく、術後疼痛が少ない傾向を認めた。一方、術後出血は4.5%と有意に多いことが分かった(74歳以下は2.1%)。また、女性の術後出血率は5.7%と男性2.5%と比べて高く、これは74歳以下の、男性3.2%女性1.0%と逆転した現象であった。原因として病脳期間、加齢による組織脆弱性、抗血栓薬の内服、排便状況などの関与が挙げられるが、これらと明らかな因果関係を認めなかった。
<結語>
当院における後期高齢者に対するLEの現状を報告した。比較的安全に手術が行われていたが、女性患者の術後出血に十分留意する必要があると考えられた。
高齢者に対する痔核手術はALTA療法を中心とした低侵襲療法が選択されやすいが、ADLの良い患者では根治性も重視され結紮切除術(LE)を必要とする患者も少なくない。当院における後期高齢者に対するLEの現状を報告する。
<対象と方法>
2015年1月から2024年12月までの10年間にLEを施行した2679例のうち、後期高齢者(75歳以上)である292例を対象とし、74歳以下の2387例と手術成績を比較した。
<結果>
手術は腰椎麻酔下、ジャックナイフ体位で行い、LE3ヵ所を基本とした。
平均年齢79.3歳(75-93歳)、男女比117:175、LEの平均施行数2.3箇所、平均手術時間29.2分(3-64分)、平均出血量2.3ml(1-30ml)、平均入院期間9.7日(2-32日)、術後創痛(face scale)は1/3/5病日で1.0/0.8/0.8、Clavien Dindo分類(CD分類)Ⅲa以上の術後合併症として出血を13例(4.5%)に認めた。
<考察>
後期高齢者例は、74歳以下と比較し女性の手術が多かった(74歳以下は男女比1289:1098)。LEの数、手術時間、出血量、入院期間等に有意差はなく、術後疼痛が少ない傾向を認めた。一方、術後出血は4.5%と有意に多いことが分かった(74歳以下は2.1%)。また、女性の術後出血率は5.7%と男性2.5%と比べて高く、これは74歳以下の、男性3.2%女性1.0%と逆転した現象であった。原因として病脳期間、加齢による組織脆弱性、抗血栓薬の内服、排便状況などの関与が挙げられるが、これらと明らかな因果関係を認めなかった。
<結語>
当院における後期高齢者に対するLEの現状を報告した。比較的安全に手術が行われていたが、女性患者の術後出血に十分留意する必要があると考えられた。