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[O21-4]パラシュート型PPH90例の検討--狭窄への対応について---

須原 貴志1, 国枝 克之2, 河合 雅彦2 (1.下呂市立金山病院外科, 2.岐阜県総合医療センター)
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【はじめに】stapled hemorrhoidopexy( PPH)は2014年の肛門疾患診療ガイドラインでは推奨度Cとされ,2020年のガイドライン第2版に至っては言及されていない。これは再発率の施設間格差が大きい点が原因と推察される。我々は透視下の実験から、巾着縫合を緩まないように閉めてかつシャフト目盛りが肛門縁で4cmにするなど高位でファイヤーした場合、巾着縫合部がシャフトの軸受けにひっかかりハウジングの中に取り込めずシャフトの半径分の粘膜しか切除できないため効果不十分例が発生することを見出した。巾着縫合を締めずに巾着縫合起始部の反対側に縫合糸をくぐらせるように置く糸(辻仲の糸)を併用すれば、巾着縫合部は軸受けを突破してハウジングの中に取り込まれて幅広い粘膜が切除できる。また巾着縫合を緩めないように締めても、低位での切除を意識すればヘッドと付属の肛門拡張器の外筒(外筒)の口側縁の間に粘膜が二重に挟み込まれ粘膜が固定されるため粘膜がハウジングの中に押し込まれ、これも幅広く粘膜が切除される。我々は巾着縫合を閉めずかつ低位で粘膜を固定、さらに巾着縫合部は外筒内の粘膜の折り返し点が合理的であることから同部をパラシュート型に牽引しつつ巾着縫合するPPH(P-PPH)を考案した。【目的】P-PPHの効果の検討【対象】当院および協力施設でP-PPHが施行された90例【方法】患者背景、手術時間、合併症、術後疼痛程度、再発の有無を評価 【結果】男女比49:41 年齢65.8±17全周性66例 偏側性24例 GoligherⅠ6例 Ⅱ5例 Ⅲ67例 Ⅳ12例 手術時間 42.8±9.23分 狭窄4例(4.4%) 内2例は指ブジ―にて軽快。2例はリングの切断によって容易に治癒。1例ヘンタゾシン使用した他はNSAIDかアセトアミノフェンで術後疼痛に対応可能。4例で痛み訴えなし 再発1例(1.1%)。【考察】PPHの術後に発生する狭窄はリング状であり、容易に対処可能。【結語】P-PPHは再発率が低く術後の痛みが少ない術式である可能性があり、狭窄にも容易に対応しうる。