Presentation Information
[O22-2]膿瘍形成性虫垂炎として保存加療後に待機的手術にて虫垂粘液癌と診断し得た1例
鍵渡 宝, 髙橋 慶太, 森島 眞子, 古謝 学, 川村 雅彦, 堤 謙二 (川村病院外科)
原発性虫垂癌の発生頻度は、虫垂切除例の0.03%~0.19%と比較的稀ではあるが、悪性度の高いものも含まれており、画像診断上、膿瘍形成性虫垂炎との鑑別が重要である。今回我々は初診時膿瘍形成性虫垂炎として加療し、待機的手術にて虫垂粘液癌と診断し得た1例を経験したため報告する。
症例は78歳女性。1週間続く右下腹部痛を主訴に受診。血液検査にて炎症高値、造影CTにて膿瘍形成性虫垂炎と診断し、抗菌薬加療にて炎症は軽快した。しかしながら、血液検査にてCEA 7.5ng/ml、 CA19-9 38.7U/mlと上昇、また経過中の造影CTでは膿瘍内にLow density areaを認め、また膿瘍所見と炎症値に乖離が見られた。下部消化管内視鏡検査では虫垂開口部に異常を認めず、同部生検を施行もGroup1であった。虫垂粘液産生腫瘍を念頭に置きを行う待機的虫垂切除の方針とした。腹腔鏡下にて虫垂を観察するも腹壁に強く癒着し回盲部が一塊になっていたため、開腹移行し回盲部切除を施行した。術後3日目で食事開始し、9日目で軽快退院。 切除後、腫瘍マーカーは速やかに陰転化した。術後病理組織検査にて虫垂粘液癌、pT4bN0M0であった。虫垂腫瘍は粘液産生を伴い、漿膜面に露出し回腸粘膜に直接浸潤していた。術後補助化学療法は大腸癌治療に準じてCAPOX療法を8コース行う方針とした。
虫垂粘液腫瘍の診断において、初診時では膿瘍形成性虫垂炎との鑑別が難しい例が認められる。医中誌における本邦132例の報告によると虫垂粘液腫瘍症例は平均年齢64.9歳で、年齢範囲は48歳から85歳であったことを考慮すると、40歳以上で虫垂周囲膿瘍が画像上疑われた場合、虫垂粘液腫瘍を鑑別におき、経時的に複数の画像診断モダリティーにて経過フォローを行うことが望ましいと考えられる。
症例は78歳女性。1週間続く右下腹部痛を主訴に受診。血液検査にて炎症高値、造影CTにて膿瘍形成性虫垂炎と診断し、抗菌薬加療にて炎症は軽快した。しかしながら、血液検査にてCEA 7.5ng/ml、 CA19-9 38.7U/mlと上昇、また経過中の造影CTでは膿瘍内にLow density areaを認め、また膿瘍所見と炎症値に乖離が見られた。下部消化管内視鏡検査では虫垂開口部に異常を認めず、同部生検を施行もGroup1であった。虫垂粘液産生腫瘍を念頭に置きを行う待機的虫垂切除の方針とした。腹腔鏡下にて虫垂を観察するも腹壁に強く癒着し回盲部が一塊になっていたため、開腹移行し回盲部切除を施行した。術後3日目で食事開始し、9日目で軽快退院。 切除後、腫瘍マーカーは速やかに陰転化した。術後病理組織検査にて虫垂粘液癌、pT4bN0M0であった。虫垂腫瘍は粘液産生を伴い、漿膜面に露出し回腸粘膜に直接浸潤していた。術後補助化学療法は大腸癌治療に準じてCAPOX療法を8コース行う方針とした。
虫垂粘液腫瘍の診断において、初診時では膿瘍形成性虫垂炎との鑑別が難しい例が認められる。医中誌における本邦132例の報告によると虫垂粘液腫瘍症例は平均年齢64.9歳で、年齢範囲は48歳から85歳であったことを考慮すると、40歳以上で虫垂周囲膿瘍が画像上疑われた場合、虫垂粘液腫瘍を鑑別におき、経時的に複数の画像診断モダリティーにて経過フォローを行うことが望ましいと考えられる。