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[O23-4]ストーマ造設術を要した放射線性直腸炎の2例
木村 駿悟, 長嶋 康雄, 渡邉 健太郎, 小梛 地洋, 三浦 康之, 甲田 貴丸, 鏡 哲, 鈴木 孝之, 金子 奉暁, 牛込 充則, 的場 周一郎 (東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科)
放射線性直腸炎は、放射線治療後に出現する合併症の1つで、晩期障害では不可逆的な粘膜障害に陥っている場合がある。晩期有害事象には、出血や狭窄や瘻孔形成があり、保存的治療にて改善が得られない場合、それらの有害事象が患者のQOLやPSを大きく低下させてしまう。今回、2025年4月までに当科で経験した放射線性直腸炎2例について、文献的考察を加えて報告する。
症例1は、70歳代男性。精嚢浸潤を伴う前立腺癌に対して、6か月前から70Gy/35回の放射線療法が施行された。放射線療法が開始されてから排便困難が出現し、徐々に増悪傾向となっていた出血性脱出性内痔核に対して痔核根治術が予定されていた。しかし、腹部身体所見で右下腹部に腫瘤性病変が触知され、腹部CTでS状結腸から直腸S状部にかけて腸管壁の著明な肥厚が認められた。大腸内視鏡検査所見では下行結腸から直腸S状部にかけて著明な全周性浮腫とびらん潰瘍が認められたが、経過とともに潰瘍性病変へと進行し、放射線性腸炎と診断した。増悪する頻便と排便困難に対して横行結腸双孔式ストーマ造設術が施行された。
症例2は、70歳代男性。14年6か月前に精嚢浸潤を伴う前立腺癌に対して73.8Gy/41回の放射線療法を施行された。11ヶ月前から出現した血便に対して大腸内視鏡検査が施行され、直腸に浅い潰瘍と粘膜発赤が認められたために放射線性直腸炎と診断されAPC療法で治療が行われた。2か月前に血便が増悪し、全周性粘膜発赤に対して再度APC療法が行われたが血便は持続、更に2回APC療法が行われたが出血が続くためにS状結腸双孔式ストーマ造設術が行われた。
2症例ともストーマ造設により症状の改善を得ることができた。
症例1は、70歳代男性。精嚢浸潤を伴う前立腺癌に対して、6か月前から70Gy/35回の放射線療法が施行された。放射線療法が開始されてから排便困難が出現し、徐々に増悪傾向となっていた出血性脱出性内痔核に対して痔核根治術が予定されていた。しかし、腹部身体所見で右下腹部に腫瘤性病変が触知され、腹部CTでS状結腸から直腸S状部にかけて腸管壁の著明な肥厚が認められた。大腸内視鏡検査所見では下行結腸から直腸S状部にかけて著明な全周性浮腫とびらん潰瘍が認められたが、経過とともに潰瘍性病変へと進行し、放射線性腸炎と診断した。増悪する頻便と排便困難に対して横行結腸双孔式ストーマ造設術が施行された。
症例2は、70歳代男性。14年6か月前に精嚢浸潤を伴う前立腺癌に対して73.8Gy/41回の放射線療法を施行された。11ヶ月前から出現した血便に対して大腸内視鏡検査が施行され、直腸に浅い潰瘍と粘膜発赤が認められたために放射線性直腸炎と診断されAPC療法で治療が行われた。2か月前に血便が増悪し、全周性粘膜発赤に対して再度APC療法が行われたが血便は持続、更に2回APC療法が行われたが出血が続くためにS状結腸双孔式ストーマ造設術が行われた。
2症例ともストーマ造設により症状の改善を得ることができた。