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[O24-1]腹腔鏡下大腸癌手術における切開創SSIリスク因子の検討

験馬 悠介, 中川 和也, 本田 祥子, 伊藤 慧, 増田 太郎, 太田 絵美, 山岸 茂 (藤沢市民病院消化器外科)
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【背景】厚生労働省のJANIS(Japan Nosocomial Infections Surveillance)における2024年1月から6月のSSI(Surgical Site Infection)サーベイランスデータでは、腹腔鏡下大腸癌手術における切開創SSI発生率は5.13%と報告されている。当院では、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)のガイドラインに準拠したSSI予防バンドルの遵守を中心とした感染対策を行っている。
【目的】腹腔鏡下大腸癌手術における切開創SSIの発生率と関連するリスク因子を明らかにし、当院における感染予防対策の妥当性および有効性を検証することを目的とした。
【対象と方法】2010年4月から2023年12月の間に当院で待機的に施行された腹腔鏡下大腸癌手術1,416例を対象とし、切開創SSIの発生率と標準化感染比(SIR)を算出した。SSI合併群と非合併群に分け、リスク因子について後方視的に検討を行った。SSIはCDCの定義に基づき、術後30日以内に発症したものを対象とし、外来での診察結果も含め、主治医および感染管理認定看護師による協議により診断された。
評価項目として、年齢、性別、BMI、喫煙歴、糖尿病罹患歴、術前のPNI値、ASA-PS、人工肛門造設の有無、手術時間、出血量を抽出した。解析は単変量解析およびロジスティック回帰を用いた多変量解析を実施した。
【結果】当院における切開創SSI発生率は4.45%であり、SIRは0.86と、全国平均よりも低い結果であった。単変量解析では性別、喫煙歴、人工肛門造設の有無、出血量においてP<0.1であった。さらに多変量解析の結果、喫煙(OR 2.11, 95%CI:1.15–3.92, p=0.016)および人工肛門造設(OR 2.13, 95%CI:1.06–4.05, p=0.025)が有意な独立リスク因子として抽出された。
【結語】当院における腹腔鏡下大腸癌手術後の切開創SSI発生率は全国平均SSI発生率を下回っていた。喫煙歴、人工肛門造設はSSIのリスク因子であり、今後の対策強化において考慮すべき重要な要素と考えられた。