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[O24-3]大腸癌手術における栄養評価指標を用いた周術期管理の有用性

成廣 哲史, 髙田 直樹, 羽田 丈紀, 渡部 通章, 平野 純 (厚木市立病院外科)
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【背景】消化器癌手術における術前栄養状態評価は,周術期リスク予測を可能にし,術後合併症発生率低減化に有用であると.栄養評価方法として栄養状態,炎症反応,血球細胞成分評価に基づいた評価法が多く用いられている.【目的】術前栄養評価法としてprognostic nutritional index(PNI),栄養障害の指標であるcontrolling nutritional status(CONUT)scoreに着目し術前リスク評価と周術期合併症の解析を行った.【対象・方法】2022年1月から2024年12月までに施行した大腸癌手術185例を対象とし後方視学的に検討した.【結果】PNI 40 以下(Low 群)は38例,40を超えたPNI( High群)は147例で,CONUT score 中等度未満(Low群)が151例,中等度以上(High群)が34例であった.患者背景は,PNI Low群がHigh群と比較し,年齢で76.5歳(54-92),72歳(38-94)(P=0.02)と高齢者が多く,BMIが21.3(13.9-29.6),22.5(15.7-47.8)(P=0.006)と低値であった.またASA-PS>2が6例(15.8%),5例(3.4%)(P=0.004),腸閉塞,穿孔症例が10例(26.3%),11例(7.5%)(P=0.001),機械的前処置症例が27例(71.1%),133例(90.5%)(P=0.002),腫瘍サイズが43.5mm(11-100),35mm(7-114)(P=0.03)と有意差を認め,進行度もPNI Low群で有意に進行していた.CONUT score High群とLow群の比較でも同様結果であった.周術期関連因子の検討では,PNI Low群はHigh群と比較し,出血量が15ml(0-2230),5ml(0-970)(P=0.02),ハルトマン手術症例数が2例(5.3%),1例(0.7%)(P=0.02),開腹症例数が5例(13.2%),4例(2.72%)(P=0.008),術後在院日数が11.5日(6-101), 9日(6-77)(P=0.004)と有意差を認めた.術後合併症全体には有意な差は認めなかった.CONUT score High群とLow群の比較でも同様の結果であった.【結論】PNI,CONUT scoreは,周術期リスク因子として,年齢,BMI,ASA-PS,腸閉塞,穿孔,腫瘍サイズ,進行度,機械的前処置を抽出した.術後合併症全体に有意な差は認めなかったが,術前低栄養患者はハルトマン手術や開腹手術が選択され,それにより術中出血量増加や術後在院日数延長に寄与していると考えられた.