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[O24-4]消化器癌患者におけるCVポート造設術中の没入型バーチャルリアリティの有用性: Pilot randomized controlled trial

鎌田 哲平1,2, 西江 亮祐3, 山岸 大祐1, 會田 貴志1, 高橋 潤次1, 畑 太悟1, 瀧澤 玲央4, 大平 寛典1, 墨 誠3, 衛藤 謙2, 鈴木 裕1 (1.国際医療福祉大学病院外科, 2.東京慈恵会医科大学外科学講座, 3.国際医療福祉大学病院血管外科, 4.東京慈恵会医科大学宇宙航空医学研究室)
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【背景】現在、大腸癌において広く使用されている化学療法では、長時間投与や複数の薬剤を併用するレジメンが一般的になっており、さらに、経末梢静脈での化学療法で生じうる合併症を予防できる観点からも中心静脈(CV)ポート造設が一般的な治療選択肢となっている。CVポート造設における合併症や造設後の管理などに関しては多く報告されているが、CVポート造設時の疼痛や不安を軽減する対策に関しては報告がないのが現状である。近年、歯科治療や消化器内視鏡検査中の没入型バーチャルリアリティ(VR)の臨床応用により疼痛や不安の軽減効果がある可能性が報告されている。
本研究では、消化器癌患者に対するCVポート留置術中のバーチャルリアリティ(VR)療法が、疼痛、不安、その他の術中・術後アウトカムに与える影響を検討した。
【対象と方法】CVポート造設術を受ける消化器癌の成人患者10名を対象に、単施設無作為化比較試験を実施した。原疾患は大腸癌7例、胃癌1例、食道癌1例、膵癌1例であった。術後補助化学療法目的のCVポート造設は3例、切除不能悪性腫瘍に対する化学療法目的のCVポート造設は7例であった。参加者は術中にTherapeia VR(xCura)を用いたVR療法を受けるVR群(n=5)と、従来の処置を受ける対照群(n=5)に無作為に割り付けた。主要および副次アウトカムには、術中疼痛、不安(術中・術後)、出血量、手術時間、閉塞感、患者および術者満足度を含めた。
【結果】手術時間、出血量、術前不安、閉塞感、術者満足度においては両群間に有意差は認められなかった。一方、VR群は対照群と比較して、術中疼痛(p=0.03)、術中および術後不安(p=0.04)が有意に低く、患者満足度(p=0.03)は有意に高かった。
【結論】CVポート造設術中の没入型VR療法は、術中の疼痛や不安を軽減し、患者満足度を向上させる有効な非薬物的介入となる可能性が示唆された。