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[O24-5]根治切除術結腸癌における病期分類を考察する―多施設共同研究の結果から―

安藤 幸滋1, 大垣 吉平2, 杉山 雅彦3, 蓮田 博文4, 田尻 裕匡4, 野中 謙太朗2, 上原 英雄2, 川副 徹郎1, 沖 英次1, 吉住 朋晴1 (1.九州大学大学院消化器・総合外科, 2.公立学校共済組合九州中央病院総合外科, 3.国立病院機構九州がんセンター消化管外科, 4.国立病院機構九州医療センター消化管外科)
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【はじめに】大腸癌の病期分類は深達度、リンパ節転移有無、遠隔転移有無の三つで構成され、治療方針決定や予後予測に寄与している。しかしながら、これらの三つの因子だけでは正確な予後予測が難しい場合がある。Tumor deposit (TD)は原発巣や転移リンパ節との連続性を持たずに存在する微小癌細胞巣であり、TDの存在は予後不良因子であることが報告されている。今回、TDに着目し、TDの臨床的意義について検討し結腸癌の新たな病期分類について考察した。
【対象と方法】九州大学病院消化器・総合外科の関連施設4施設において2015年1月から2019年12月までに根治切除術が行われたStage0-IIIの結腸癌患者1,497名を対象とした。TDはリンパ節構造のない結節性の壁外非連続性癌進展病巣とした。
【結果】TD陽性例は125例(9.2%)であった。TD陽性例は深達度が深い症例、リンパ節転移陽性症例、病期が進んだ症例と相関した(それぞれP<0.0001)。TD陽性症例の5年無再発生存率は55.9%、5年全生存率は68.8%とTD陰性症例より有意に低かった(P<0.0001)。また、多変量解析にTD陽性は独立した予後不良因子であった。TD陽性例を別Stageとして扱った場合、Stage0-IIIの症例と比べて有意に予後不良であった。
【結語】根治切除後の結腸癌においてTDの予後因子としての重要性が示唆された。今後さらなる検討を行い、大腸癌病期分類に加える必要性があると考えられた。