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[O25-2]手術治療を要した腸閉塞の発生原因と癒着部位に関する検討

太田 竜1, 山田 岳史2, 上原 圭2, 松田 明久2, 進士 誠一2, 横山 康行2, 高橋 吾郎2, 岩井 拓磨2, 武田 幸樹1, 関口 久美子1, 清水 貴夫1, 宮坂 俊光2, 香中 伸太郎2, 松井 隆典2, 林 光希2, 金沢 義一1, 谷合 信彦2, 吉田 寛2 (1.日本医科大学武蔵小杉病院, 2.日本医科大学付属病院)
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【緒言】日本腹部救急医学会プロジェクト研究の腸閉塞全国集計にて、腹腔鏡手術により腸閉塞の発症は減少したが、癒着防止材は腸閉塞発症の低減に寄与しなかったことが示された。我々は、切開創直下に頻用される癒着防止材により腹壁癒着に伴う腸閉塞は減少するももの、臓側癒着に伴う腸閉塞を予防できなかったことがその原因と推察した。そこで、癒着性腸閉塞のうち、腹壁との癒着が原因となる腸閉塞がどの程度あるのかを検証した。
【対象と方法】本後方視的研究の対象は、2019年1月から2024年12月の期間に、本学関連施設において腸閉塞に対して手術を要した症例のうち手術既往があるもの。
【結果】期間内に腸閉塞手術は207例行われ、手術既往がない47例を除外した160例が対象となった。腹壁癒着が原因であった腸閉塞は35例(22%)と低率で、腸管や後腹膜といった臓側癒着が主因だった。先行術式は腹腔鏡手術35例、開腹術122例で、そのうち腹腔鏡手術では腹壁癒着が9例(24%)に対し、開腹術では26例(21%)といずれにおいても臓側癒着が多かった。絞扼の有無に関わらず腸管切除を必要としたのは腹壁癒着13例(37%)、臓壁癒着63例(50%)であり、臓側癒着にて腸管切除率が高かった。絞扼性腸閉塞は腹壁癒着13例(37%)、臓側癒着66例(50%)、うち腸管切除が必要であった症例は、腹壁癒着10例(29%)、臓側癒着45例(36 %)であった。
【考察】既往手術における癒着防止材使用の有無、および使用部位が不明であるが、腹壁直下の癒着が原因となる腸閉塞は少なく、腸管切除回避の観点からも臓側の癒着防止が重要であると考えられた。