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[O25-6]他臓器合併切除を行った大腸癌の臨床病理学的検討

山本 陸, 村山 倫太郎, 川端 実, 石塚 ジュスタン正也, 尾立 路輝, 石岡 直留, 花川 翔太, 遠山 栞莉, 秋間 龍之介, 仁平 高朔, 加藤 永記, 上田 脩平, 宮下 真美子, 櫻庭 駿介, 田中 顕一郎, 櫛田 知志, 伊藤 智彰, 佐藤 浩一 (順天堂大学医学部附属静岡病院外科)
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【はじめに】
他臓器浸潤を認める大腸癌は、その合併切除によりR0切除が達成され、良好な局所コントロールおよび予後が期待できる。今回、当科でc/sT4b大腸癌(虫垂を含む)に対して他臓器合併切除を行った原発巣切除症例における、周術期成績および病理学的因子についてretrospectiveに検討した。
【対象】
2020年1月から2024年12月までにc/sT4bと診断され、他臓器合併切除を施行した56例。
【結果】
年齢中央値は73歳(48-88歳)、男性30例、女性26例。術前治療として人工肛門が12例に造設され、減圧目的にステントが8例、経鼻または経肛門イレウス管が8例留置されていた。化学療法は15例に施行されていた。腫瘍の局在は虫垂 2例、盲腸 8例、上行結腸 12例、横行結腸 1例、下行結腸 2例、S状結腸 17例、直腸 14例であった。合併切除臓器としては、骨盤内臓全摘 8例、消化器系 21例、泌尿生殖器系 18例、腹壁・後腹膜 17例、血管・筋 15例、婦人科系 13例であった(重複を含む)。手術時間中央値は287.5分(103-785分)であり開腹 43例、腹腔鏡 13例であったが、開腹移行を6例(42%)に認めた。Clavien-Dindo分類GradeⅢ以上の術後合併症は7例(12.5%)に認めた。pStageⅡ/Ⅲ/Ⅳ 25/21/10例であった。全症例のうち41例(73.2%)で病理学的に他臓器浸潤を認めた。
StageⅡ/Ⅲ症例 45例のうちR0切除は43例(95.6%)に達成されたが、うち2例(4.7%)に局所再発を認めた。R1/2切除となった2例は両者とも局所再発を認めた。局所再発の有無で比較すると、R0切除(p<0.05)で有意差を認めた。
【考察】
他臓器浸潤大腸癌は開腹移行になる可能性が高かった。術中に他臓器浸潤の診断となってもR0切除を目指すべきであるが、安全な手術遂行のためには浸潤範囲の正確な診断が必要不可欠であり、アプローチに拘る必要はない。