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[O26-2]Modified pincer approachによる中結腸動脈根部温存D3郭清の戦略
原口 直紹, 南 壮一郎, 土橋 果実, 古賀 睦人, 藤井 渉, 三上 希実, 山平 陽亮, 額原 敦, 肥田 仁一, 木村 豊 (近畿大学奈良病院外科)
右側横行結腸癌の腹腔鏡手術においては、ICAおよびMCAの根部処理を行うと、残存腸管血流はIMA依存することになり腸管虚血のリスクが高まる。一方で、残存腸管血流を考慮し、MCAを温存すると、特に、MCAの頭側から膵下縁の横行結腸管膜根の領域が郭清不良となるリスクがある。そこで、ここでは、CME(complete mesocolic excision)を目指したmodified pincer approach によるMCA温存D3郭清の手技を紹介する。術者は脚間に立ち、右手ポートは下腹部正中とすることで、血管軸に水平な操作が可能で、膵被膜腹側・GCT側背側の郭清に特化させている。まず、頭側からRGEV末梢からGCTから分岐ARCV腹側を同定し、十二指腸前面から肝湾曲の授動を行う。後腹膜剥離の後にICV・ICAの根部郭清を行う。SMV腹側剥離を進め、GCTを同定し、膵被膜を温存しながら、GCTの背側郭清をARCV分岐まで行う。SMA前側面をトライツに向けての郭清し、MCA根部を同定し、末梢に向けて全周性にMCAを剥き、MCA右枝を切離する。その後、右側結腸の外側授動を盲腸側から行い、右側結腸を内側に翻転させ、SMVの腹側を片開きとさせる。GCT pedicleを内腹側へ挙上し、ARCVを根部で切離する。膵下縁を膵体部に向けて解放し、広い視野の下でMCV根部を切離する。尾側からSMA腹側郭清を膵下縁へとすすめ、MCA根部から膵下縁の郭清領域を血管軸から切除領域へと回す。肛門側腸管切除部位に向けて切開を進め、郭清は終了する。一般的にMCVはMCAの頭側から分岐し、頭尾側に並走した後に水平走行する。よって、MCA根部温存D3郭清を不足なく行う上では、MCV温存は不可能であると考えている。加えて、同手技を用いることで、静脈系解剖を明確化させ、広い視野で安全に静脈処理が可能となると考えている。