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[O27-2]体腔内吻合導入後のロボット支援結腸癌手術の短期成績とコストパフォーマンス
小野澤 寿志1, 渡邊 匠1, 星野 啓太1, 森 友輔2, 米澤 博貴1, 菅家 康之1, 佐藤 雄哉1, 本山 一夫1, 伊藤 泰輔1, 石井 芳正1, 河野 浩二2 (1.太田西ノ内病院外科, 2.福島県立医科大学消化管外科)
【はじめに】2022年の保険収載以降,ロボット支援結腸癌手術の拡大は顕著である.一方腹腔鏡手術と比較しロボット支援手術には高額な費用がかかると言われている.腹腔鏡下結腸悪性腫瘍手術は診療報酬上59510点と決して高くなく,さらにロボット手術加算や腫瘍の局在による加算もないのが現状である.当科では2023年1月より結腸癌に対しロボット支援手術を導入,2024年1月よりOverlap法による体腔内吻合を導入した.【目的】Overlap法による体腔内吻合導入後のロボット支援結腸癌手術の短期成績および手術のコストについて検討.【対象・方法】2024年1月から2025年4月までに結腸癌に対しロボット支援手術を施行した14例を対象とし,短期成績について後方視的に検討.またロボット支援結腸癌手術のコストについて,吻合法および腹腔鏡下手術毎に算出し比較検討.体腔内吻合はoverlap法もしくはDST法を基本とし,自動縫合器の使用は全例助手ポートから行い,またDST法(ロボット手術時)ではエネルギーデバイスの使用を控えるなど工夫を行っている.当科のOverlap法について動画を供覧する.コストについては使用器材をほぼ定型化しており,手術関連保険点数合計から当院の器材納入価の合計額を減算し算出.ロボットランニングコスト,麻酔のコスト,人件費などは計算から除外.【結果】男性8例,女性6例,年齢69.5(46-87)歳.再建はOverlap法8例,DST法6例.手術時間278(166-520)分,出血0(0-50)ml,Clavien Dindo分類Grade2の術後合併症を2例に認めたが,Grade3は認めなかった.コストに関しては,1件あたりoverlap+356224円,DST+384728円,同時期の腹腔鏡下手術ではそれぞれ+465983円,+444987円であり,ロボットoverlap法の収益が最も少なかった.【考察】本検討の中ではOverlap法によるロボット支援結腸癌手術が最もコストパフォーマンスが悪い術式だった.高額なエネルギーデバイスの使用や加算を上回る自動縫合器,吻合器の使用を工夫するなどコストダウンできる可能性もあるが,手術時間延長や合併症増加につながる可能性もあり,議論の余地があると考える.【結語】ロボット支援結腸癌手術におけるコスト意識は重要である.