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[O27-7]市中病院におけるロボット支援大腸癌手術教育

岩田 乃理子, 塚本 史雄, 林 祐美子, 中田 豊, 遠藤 晴久, 中島 康晃, 佐伯 伊知郎, 高橋 定雄, 荻谷 一男 (江戸川病院外科)
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【背景・目的】
保険収載を契機に大腸癌領域に対するロボット支援手術が普及しつつある昨今、技術認定未取得の外科医がどのようにトレーニングを積み、技術を習得するかについては課題が多い。当院は2020年4月に直腸癌、2022年6月に結腸癌に対しロボット支援手術を導入し2025年4月までに265例を施行した。そのうち、36.2% 96例は技術認定未取得の若手外科医が術者として執刀した。2023年度に1名、ロボット支援手術にて技術認定を取得した。当院の取り組みと短期成績を示す。
【対象・方法】
2020年4月から2025年4月に技術認定未取得外科医が施行したロボット支援大腸癌手術96例の短期成績を検討した。
【結果】
患者背景は年齢中央値76(38-93)歳、BMI中央値22.5(13.9-39.1)kg/m2、男女比: 54:42 、術式は、回盲部切除術20例、結腸右半切除術9例、結腸左半切除術6例、下行結腸切除術3例、S状結腸切除術20例、高位前方切除術19例、低位前方切除術10例、直腸切断術1例、ハルトマン手術8例であった。直腸癌手術時間中央値271(144-417)分、出血量中央値4(0-160)ml、結腸癌手術時間中央値196(137-370)分、出血量中央値0(0-40)mlであった。術後合併症はClavien-Dindo分類GradeⅢ以上は5例(骨盤死腔炎、縫合不全、腸閉塞)であった。術後在院日数中央値は6(6-44)日であった。開腹移行はなかった。当院のような市中病院において教育的視点から考えるロボット支援手術の利点は、①少人数での手術が可能であること、②術野を変えず術者交代がスムーズにできるため部分執刀がしやすいこと、③アノテーション機能の活用、④術中音声録音により術者だけでなく指導的助手も振り返り学習が可能であることが挙げられる。ポート配置および手術手順を定型化し、S状結腸切除・高位前方切除の部分執刀から導入し、授動、血管処理の順に手技取得を目指して指導を行っている。
【結論】技術認定未取得の若手外科医によるロボット支援大腸癌手術の短期成績は良好であり安全に行うことができた。