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[O3-6]当科におけるロボット支援下骨盤内臓全摘術症例の検討

山本 学, 浦上 啓, 尾崎 晃太郎, 安井 千晴, 柳生 拓輝, 河野 友輔, 木原 恭一, 藤原 義之 (鳥取大学医学部附属病院消化器外科)
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【はじめに】
ロボット支援下手術の普及は進み、大腸領域では直腸、結腸とも手術件数は大幅に増えてきている。手術の定型化も進みつつあり、現在は進行した症例にも導入している施設が増えていると思われる。当科では膀胱や前立腺に浸潤する大腸癌に対して以前は開腹による骨盤内臓全摘術を行っていたが、2020年以降、基本的にはロボット支援下に手術を実施している。今回、当科において骨盤内臓全摘を施行した症例(直腸温存症例も含む)の治療成績を、開腹とロボットで比較検討した。
【結果】
2008年から2025年4月の期間に18例の骨盤内臓全摘術を施行した。年齢中央値69歳(31-81)、男性14例、女性4例、主占拠部位はS/RSが10例、Raが1例、Rbが7例であった。浸潤臓器は膀胱のみが9例、前立腺が5例、膀胱および子宮あるいは膣が4例であった。術前治療(化学療法もしくは放射線化学療法)は11例で実施していた。7例で肛門温存手術が施行されていた。尿路の再建は尿管皮膚ろうが8例、回腸導管が10例であった。開腹手術とロボット手術の成績を比較すると、手術時間中央値は開腹は606分(413-900)、ロボットは782(560-963)分で、ロボット手術で長い傾向であった(p=0.068)が、出血量は開腹で1977ml(590-7100)、ロボットで380ml(150-925)と、有意にロボット手術で少ない結果であった(p=0.003)。術後Grade3以上の合併症は開腹で4例認めたが、ロボットでは認めなかった(p=0.092)。術後在院日数中央値は開腹45日(19-59)、ロボット25日(18-45)でロボット手術で有意に短縮していた(p=0.033)。
【まとめ】
ロボット支援下骨盤内臓全摘術は、従来の開腹手術と比べて手術時間は延長するものの、出血量は少なく、術後合併症も少なく、術後在院日数も有意に短い結果であった。拡大手術においてもロボットによる低侵襲手術のメリットは大いにあるものと考えられた。