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[O3-7]術前放射線治療後のロボット支援下直腸癌手術の成績

戸田 重夫1, 黒柳 洋弥1, 柏木 惇平1, 高橋 泰宏1, 呉山 由花1, 前田 裕介1, 岡崎 直人1, 平松 康輔1, 福井 雄大1, 花岡 裕1, 上野 雅資1, 的場 周一郎2 (1.虎の門病院消化器外科, 2.東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科)
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【背景】本邦でも下部進行直腸癌に対して術前放射線治療を行う施設が増加している。しかしながら術前放射線治療例では、組織の硬化や滲出液の増加などで剥離が困難となり、手術難易度が上昇する。当院では2010年より術前放射線治療を導入し、全例腹腔鏡下手術を標準としており、2020年3月よりロボット手術も導入し、現在は両者で手術を行っている。
【方法】当院ではcT3/4またはcN+下部直腸癌に対し術前放射線治療を適応としている。特に剥離断端陽性を危惧する場合は全身化学療法を放射線治療の前後に追加するいわゆるTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)を行う。ロボット機種は初期はdaVinci Xiのみで、2024年4月よりHugoも導入した。2020年3月から2025年4月に当院で術前放射線治療後に鏡視下根治手術を行った下部進行直腸癌160例中、ロボット手術を行った症例を対象として成績を検討した。
【結果】ロボット手術は41例に施行し、機種はdaVinciを31例、Hugoを10例に用いた。性別は男性25例女性16例、年齢中央値は66歳、BMI中央値は21.9。治療前診断はcT3 31例T4 10例、cN+18例。TNTは11例に施行した。術式は低位前方切除22例、ISR 5例、直腸切断術12例、骨盤内臓全摘2例であり、肛門温存率は66%であった。側方郭清は13例(32%)に施行した。手術時間と出血量の中央値はそれぞれ416分、100ml。C-D Grade2以上の合併症は9例(22%)に認めた(縫合不全1例)。病期はStage 0(CR)/I/II/IIIがそれぞれ2/9/12/18例で、CRM陽性は5例(12%)。同時期の腹腔鏡手術症例と比較し、患者背景(年齢・性別・BMI・術前診断)、治療(TNT率・術式)、手術成績(手術時間・出血量・合併症率)、病理結果(病期・CR率・CRM陽性率)すべてに有意差を認めなかった。
【結語】ロボット支援下手術は術前放射線治療後の直腸癌症例に対して腹腔鏡手術と同等に安全に施行可能である。