Presentation Information
[O3-8]局所進行直腸癌に対する術前化学放射線治療後のロボット支援下手術の治療成績―TNT(短期放射線治療) vs 長期放射線治療―
小嶌 慶太1,2, 柴木 俊平1, 池村 京之介1, 渡部 晃子1, 横田 和子1, 田中 俊道1, 横井 圭悟1, 古城 憲1, 三浦 啓壽1, 山梨 高広1, 佐藤 武郎2, 内藤 剛1 (1.北里大学医学部下部消化管外科学, 2.北里大学医学部附属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門)
【背景】局所進行直腸癌(LARC)に対する術前長期化学放射線療法(LCCRT)は,その安全性・有用性が示され徐々に普及している.近年ではさらなる生存率向上を目指したTNT(total neoadjuvant therapy)や,通院回数軽減を目的とした短期放射線療法(SCCRT)も選択肢の1つとなってきたが,治療成績の報告はまだ少ないのが現状である.
【目的】LARCに対するSCCRTを併施したTNT(TNT with SCCRT)後のロボット支援下手術(RAS)の安全性を明らかにする.
【対象と方法】2018年6月から2025年2月の期間に術前化学放射線治療(CRT)後にRASを施行したLARC61例を対象に,後方視的にTNT with SCRTとLCCRTの短期成績を比較検討した.CRTではS-1/CPT-11を用い,放射線照射はLCCRTで1.8Gy×25回,SCCRTで5Gy×5 回行った.TNTではCAPOXを施行した.
【結果】LCCRT51例,SCCRT10例であった.各因子はLCCRT vs SCCRTで示す.背景因子において,性別(男性64.7 % vs 70.0 %, p=0.74),年齢(62.0歳 vs 60.9歳, p=0.78),BMI(23.6 kg/m2 vs 21.2 kg/m2, p=0.08) に両群間で有意差を認めなかったが,放射線照射終了から手術までの期間(16.3週 vs 22.1週, p=0.04)には有意差を認めた.術式(低位前方切除術/ハルトマン手術/Miles手術: 41.2%/0%/58.8% vs 70%/10%/20%, p=0.01)に差を認めたが,側方郭清(27.5% vs 10%, p=0.24)には有意差は見られなかった.手術時間(452.5分 vs 340.1分, p=0.04)はSCCRTで有意に短く,出血量(174.9g vs 133.0g, p=0.55),術後入院日数(11.5日 vs 9.3日, p=0.34),Clavien-Dindo(CD)分類III以上の合併症発生率(7.8% vs 0%, p=0.35)に有意差を認めなかった.CD分類III以上の内訳は腸閉塞2例,創哆開1例,乳糜漏1例であった.排尿障害はLCCRTで1例認めたがCD分類Iであった.
【結語】LARCに対するSCCRTを併置したTNT後のRASの短期成績は良好であり,安全性が確認された.
【目的】LARCに対するSCCRTを併施したTNT(TNT with SCCRT)後のロボット支援下手術(RAS)の安全性を明らかにする.
【対象と方法】2018年6月から2025年2月の期間に術前化学放射線治療(CRT)後にRASを施行したLARC61例を対象に,後方視的にTNT with SCRTとLCCRTの短期成績を比較検討した.CRTではS-1/CPT-11を用い,放射線照射はLCCRTで1.8Gy×25回,SCCRTで5Gy×5 回行った.TNTではCAPOXを施行した.
【結果】LCCRT51例,SCCRT10例であった.各因子はLCCRT vs SCCRTで示す.背景因子において,性別(男性64.7 % vs 70.0 %, p=0.74),年齢(62.0歳 vs 60.9歳, p=0.78),BMI(23.6 kg/m2 vs 21.2 kg/m2, p=0.08) に両群間で有意差を認めなかったが,放射線照射終了から手術までの期間(16.3週 vs 22.1週, p=0.04)には有意差を認めた.術式(低位前方切除術/ハルトマン手術/Miles手術: 41.2%/0%/58.8% vs 70%/10%/20%, p=0.01)に差を認めたが,側方郭清(27.5% vs 10%, p=0.24)には有意差は見られなかった.手術時間(452.5分 vs 340.1分, p=0.04)はSCCRTで有意に短く,出血量(174.9g vs 133.0g, p=0.55),術後入院日数(11.5日 vs 9.3日, p=0.34),Clavien-Dindo(CD)分類III以上の合併症発生率(7.8% vs 0%, p=0.35)に有意差を認めなかった.CD分類III以上の内訳は腸閉塞2例,創哆開1例,乳糜漏1例であった.排尿障害はLCCRTで1例認めたがCD分類Iであった.
【結語】LARCに対するSCCRTを併置したTNT後のRASの短期成績は良好であり,安全性が確認された.