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[O5-2]当院における腹腔鏡下結腸体腔内吻合の短期成績と吻合方法の比較

高城 伸平1,2, 今川 りさ1, 鈴木 達徳1, 遠藤 洋己1, 斎藤 萌1, 末永 勝士1, 田中 雄也1, 相馬 泰平1, 尾﨑 貴洋1, 松下 恒久1,2, 角 泰廣1, 古畑 智久3 (1.独立行政法人国立病院機構静岡医療センター外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科, 3.社会医療法人禎心会札幌禎心会病院消化器外科)
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腹腔鏡下結腸切除術における消化管再建は従来、体腔外で行われることが一般的であった。その場合、腸管を体外へ誘導するために広範囲の剥離、授動が要求される。高度肥満症例や腸管短縮,癒着症例では体外へ十分な腸管挙上が困難で、また、腸管切除・吻合の際に腸管牽引による出血も経験する。これらの問題を解決するために体腔内吻合が行われているが、腹腔内への便汚染や腫瘍細胞の散布、手術時間の延長が問題点として挙げられる。2022年8月から2024年11月にかけて当院で行った腹腔鏡下結腸切除術における体腔外吻合症例28例と体腔内吻合症例33例の治療成績を比較した。出血量に差はなく(40vs24g,p=0.17) 、術後在院日数に関しても差がなかった(11vs12日,P=1.103)。術後合併症は、両群とも縫合不全や吻合部狭窄はなく、SSIに関しても差はなかった(10.7vs7.4%,p=1.0)。一方で、体腔内吻合群で手術時間の延長を認めた(290vs330分,p=0.17)。体腔内吻合のうち、overlap吻合が25例,delta吻合が8例であった。エントリーホールの閉鎖に関しては、overlap吻合のうち17例が縫合閉鎖しており、8例が自動縫合器で閉鎖している。delta吻合は全例で自動縫合器で閉鎖している。overlap吻合とdelta吻合の吻合時間に関する比較では、有意にdelta吻合での時間短縮を認めた(41vs20分,p=0.02)。エントリーホールの閉鎖方法別で吻合時間を比較すると、自動縫合器でエントリーホールを閉鎖したoverlap吻合とdelta吻合を比較しても差はなかったが(22vs20分,p=0.494)、縫合でエントリーホールを閉鎖したoverlap吻合とdelta吻合を比較すると有意にdelta吻合での吻合時間の短縮を認めた(46vs20分,p<0.001)。自動縫合器によるエントリーホールの閉鎖は吻合部狭窄の懸念があるが、現状は認めていない。吻合方法、特にエントリーホールの閉鎖方法により手術時間が短縮できる可能性があり、治療成績と手術手技の工夫を交えて報告する。