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[O5-5]当院結腸癌における体腔内吻合時の工夫と短期・長期成績

平澤 壮一朗1, 外岡 亨1, 早田 浩明1, 成島 一夫1, 天海 博之1, 千葉 聡1, 磯崎 哲朗2, 桑山 直樹1, 加野 将之1, 鍋谷 圭広1 (1.千葉県がんセンター食道胃腸外科, 2.QST病院治療診断部)
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【背景】腹腔鏡・ロボット手術の普及により結腸癌手術の腸管再建において体腔内吻合の施行比率が増加している。【目的】当院結腸癌における体腔内吻合時の工夫と短期・長期成績を報告する。【対象と方法】対象は2019年7月から2024年12月まで当院で体腔内吻合を行った結腸癌の77例。体腔内吻合の第一選択はOverlap 法としているが、再建腸管の位置によりFEEAを選択する場合もある。体腔内吻合時の工夫として以下を行っている。①腸管前処置は2日前からの禁食と漢方薬(桃核承気湯)内服。液性の下剤を使用しないことで、術中の腸管拡張や体腔内吻合時の腸液の漏出を回避。②ICGによる再建腸管の血流評価、③自動縫合器抜去時のポート内の清拭、④挿入孔の手縫い縫合の背側からの縫合。【結果】年齢72歳(32-90)、性別(男性/女性)41/36例、占居部位(C/A/T/D/S)1/17/15/18/26 例、術式(回盲部切除術/結腸右半切除術/結腸部分切除術/S状結腸切除術)6/16/29/26例、手術アプローチ(腹腔鏡/ロボット)60/17例、吻合法(Overlap/ FEEA)50/27例。手術時間249分(176-456)、出血量10 g (1-70)、開腹移行なし。S状結腸癌26例はすべてSD junctionに近かったが、脾弯曲脱転を要したのは2例のみ(7.7%)であった。第3病日の炎症反応は、白血球7300/mm3(4300-13600)、CRP 12.95㎎/dl(0.96-34.78)とCRPが高値であったが、Clavien Dindo III以上の合併症は4例(5.2%)、腸閉塞2例と乳び腹水2例であり、重度のSSIや縫合不全を認めなかった。術後在院期間は8日(7-39)であった。進行度は(pStage 0/I/II/III/IV)4/29/20/16/8例であり、pStage0-IIIの再発は3例(3.9%)であった。再発形式は肝・肺・リンパ節転移で、腹膜播種再発は認めず、3年無再発生存率は93.6%であった。【結語】当院結腸癌の体腔内吻合は、種々の工夫により重度なSSIや縫合不全はなく、短期成績は良好であった。また、腹膜播種再発は認めず、長期成績も良好であった。