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[O5-6]当科における結腸体腔内吻合の短期成績と吻合法ごとの比較
丸山 哲郎, 平田 篤史, 岡田 晃一郎, 栃木 透, 大平 学, 丸山 通広 (千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学)
結腸癌に対する低侵襲手術の増加とともに近年では体腔内吻合が増加している。剥離範囲の縮小や出血リスクの低減、小開腹創の縮小などのメリットが報告されているが、感染や播種などが懸念事項とされている。当科では適応を上腹部手術後や高度肥満症例に限定し、2020年12月から導入した。長期成績でも安全性が同等との報告も散見されるようになったことから2024年からは基本的にすべての鏡視下結腸手術で体腔内吻合を行う方針とし、2025年4月までに48例に対して体腔内吻合を実施した。吻合法については術式で固定せず、アプローチ法や腸管の状態に応じて機能的単々吻合(FEEA)、Overlap吻合、デルタ吻合を自由に選択することとしている。後方視的に短期成績および、各吻合法の比較検討を行った。FEEA:17例、Overlap:19例、デルタ:12例であり、患者背景に差を認めなかった。アプローチ法は術式の変遷により、Overlapおよびデルタでロボット手術が多かったが、術後経過、合併症に差は認めず、吻合部に関する合併症は皆無であった。一方、吻合部の作成時間についてはエントリーホールをステープルで閉鎖しているFEEAとデルタでは27分と17分、手縫いで閉鎖しているOverlapについては32分と差を認めた。しかしFEEAとデルタについては約半数でエントリーホールの閉鎖に2発のステープルを使用しており、コストが課題である。Pfannenstiel切開を開始するようになり、小開腹創は中央値3㎝であり、整容性、低侵襲の点で有用である。当科では術者を限定せず、若手でも体腔内吻合を術者として行っていることから術者経験はFEEA:9人、Overlap:6人、デルタ:6人と1人当たりの経験数は2例程度であるが、安全に導入・実施ができていると考える。