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[O5-8]結腸癌手術における体腔内吻合の手術手技と短期・中期成績

田中 征洋, 鈴村 潔, 土屋 智敬, 西前 香寿, 山本 泰資, 福井 史弥, 野々村 篤杜, 加藤 智香子, 張 丹, 寺崎 正起, 岡本 好史 (静岡済生会総合病院外科)
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【はじめに】結腸癌手術において体腔外吻合に対する体腔内吻合の短期成績のメリットが報告されているが、体腔内吻合の長期成績に関しては不明な点が多い。【目的】当院の体腔内吻合の手術手技を供覧し、短期・中期成績を検討する。【手術手技】体腔内吻合はデルタ吻合を第一選択としている。腸間膜付着部側の腸管に小孔を作成し、リニアステイプラーで共通孔を作成する。4発目のステイプラーで挟み込む腸管周囲の余剰な脂肪組織をしっかりと除去しておくことが肝要で、こうすることで確実に1発のリニアステイプラーで小孔を閉鎖でき、かつfire後に形成されたステイプルラインからの出血を予防できると考えている。【対象と方法】2021/7月-2024/10月に結腸癌に対して体腔内吻合を施行した28症例を対象として後方視的に検討した。連続変数は中央値(範囲)で示した。【結果】年齢は76歳、男性18例で、ASA-PSは1-2が22例、3が6例、ECOG-PSは0-2が27例、3が1例だった。腫瘍占居部位は盲腸7例、上行結腸15例、横行結腸4例、下行結腸2例で、ロボット支援手術が26例、腹腔鏡手術が2例、術式は回盲部切除術が8例、結腸右半切除術が14例、結腸部分切除術が6例だった。体腔内吻合後は体腔内を生理食塩水4L(3-6)で洗浄した。手術時間は323分、出血量は15gだった。ロボット支援手術での体腔内吻合に要する時間は20例前後から安定し、20分前後だった。病理学的にはStage Ⅳの2例を除いて全例でR0切除を達成した。術後合併症はCD分類でGrade Iを1例、IVa(覚醒遅延による再挿管)を1例認めた。術後在院日数は7日(5-14)だった。観察期間は325日で、再発を5例に認め、このうち腹膜播種再発を2例に認めた。この2例は術前腫瘍マーカーが高値で、病理組織学的に粘液癌成分を含んでおり、pT4aで、それぞれStage IIIb, IVaで、肝再発もきたしていた。また、観察期間中に腹壁瘢痕ヘルニアは発生しなかった。【結語】体腔内吻合の短期成績はおおむね良好だった。一方で、腫瘍学的な成績に関しては観察期間が短いため今後更なる検討が必要であると思われた。