Presentation Information
[O6-1]ロボット支援下手術と腹腔鏡下手術における体腔内吻合の短期成績の比較
富田 祐輔, 茂田 浩平, 大橋 弥貴子, 百瀬 ゆずこ, 門野 政義, 森田 覚, 岡林 剛史, 北川 雄光 (慶應義塾大学一般・消化器外科)
【背景】近年腹腔鏡下およびロボット支援下結腸切除術の普及に伴い,さらなる低侵襲手術の追求のために体腔内吻合(IA)が行われている.IAは,体腔外吻合(EA)と比較して腸管内容物の暴露に伴う感染のリスクを指摘される一方で,腸管牽引に伴う出血や腸閉塞などのリスク低減に寄与する可能性が報告されている.しかし,IAにおける腹腔鏡下とロボット支援下の短期成績を比較した報告は少ない.本研究では,当院における鏡視下結腸切除術におけるIAの短期成績について検討することを目的とした.
【方法】2015年〜2024年までの期間において,当科で手術を施行した結腸癌を対象とした.ロボット支援下体腔内吻合(Ro-IA)と腹腔鏡下体腔内吻合(La-IA)の2群で比較した. Primary outcomeを術後合併症,術後在院日数,出血量,手術時間とし,統計学的解析を行った.
【結果】対象例は,Ro-IAが26例,La-IA群が49例であった.患者背景因子について,性別は,男性/女性はRo-IA群: 11/15, La-IA群: 30/19(p=0.12),年齢はRo-IA群: 75(四分位:61-80), La-IA群: 69(四分位:58-78) (p=0.47)であった.腫瘍局在は,右側/左側がRo-IA群: 19/7, La-IA群: 48/1(p=0.001)であった.術後観察期間の中央値は,Ro-IA群: 9.2ヶ月(四分位:3.47-12.63), La-IA群: 47.6ヶ月(四分位:25.67-71.03) (p=0.001)であった.手術時間は,Ro-IA群: 262±56.8分,La-IA群: 265±42.2分と有意差を認めなかったが(p=0.86),出血量ではRo-IA群: 6±3.9ml,La-IA群: 37±75.3分と有意差を認めた(p=0.001).術後合併症はRo-IA群: 2例,La-IA群: 12例であり(p=0.08),縫合不全/腹腔内膿瘍はRo-IA群:に1例,La-IA群に 3例認め,創感染はRo-IA群に 1例,La-IA群に 3例(p=0.47)認めた.術後の腸閉塞/麻痺性イレウスは,Ro-IA群では認めなかったのに対し,La-IA群では4例であった(p=0.33).Ro-IA群では,ロボット鉗子の固定に伴う操作性の向上が寄与している可能性がある.
【結語】Ro-IA群はLa-IA群に比して,術中出血量が有意に少なく,術後合併症も少ない傾向を認めた.
【方法】2015年〜2024年までの期間において,当科で手術を施行した結腸癌を対象とした.ロボット支援下体腔内吻合(Ro-IA)と腹腔鏡下体腔内吻合(La-IA)の2群で比較した. Primary outcomeを術後合併症,術後在院日数,出血量,手術時間とし,統計学的解析を行った.
【結果】対象例は,Ro-IAが26例,La-IA群が49例であった.患者背景因子について,性別は,男性/女性はRo-IA群: 11/15, La-IA群: 30/19(p=0.12),年齢はRo-IA群: 75(四分位:61-80), La-IA群: 69(四分位:58-78) (p=0.47)であった.腫瘍局在は,右側/左側がRo-IA群: 19/7, La-IA群: 48/1(p=0.001)であった.術後観察期間の中央値は,Ro-IA群: 9.2ヶ月(四分位:3.47-12.63), La-IA群: 47.6ヶ月(四分位:25.67-71.03) (p=0.001)であった.手術時間は,Ro-IA群: 262±56.8分,La-IA群: 265±42.2分と有意差を認めなかったが(p=0.86),出血量ではRo-IA群: 6±3.9ml,La-IA群: 37±75.3分と有意差を認めた(p=0.001).術後合併症はRo-IA群: 2例,La-IA群: 12例であり(p=0.08),縫合不全/腹腔内膿瘍はRo-IA群:に1例,La-IA群に 3例認め,創感染はRo-IA群に 1例,La-IA群に 3例(p=0.47)認めた.術後の腸閉塞/麻痺性イレウスは,Ro-IA群では認めなかったのに対し,La-IA群では4例であった(p=0.33).Ro-IA群では,ロボット鉗子の固定に伴う操作性の向上が寄与している可能性がある.
【結語】Ro-IA群はLa-IA群に比して,術中出血量が有意に少なく,術後合併症も少ない傾向を認めた.