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[O8-4]進行下部直腸癌に対する術前放射線治療後の側方リンパ節転移の後方視的検討
須藤 亜希子, 石澤 歩実, 小林 佳奈, 藤田 博陽, 三浦 卓也, 諸橋 一, 袴田 健一 (弘前大学大学院医学研究科消化器外科学講座)
【背景・目的】進行下部直腸癌に対する側方リンパ節(LLN)転移は、診断や郭清を省略できる症例の基準は明らかでない。当科では進行下部直腸癌に対し術前治療を行っており、本治療によるLLN転移の抑制が期待される。当科における治療成績を明らかにすべく、後方視的検討を行ったので報告する。
【方法】2020年1月~2025年3月に、当科で術前後高解像度MRIにて評価し、術前放射線治療後に原発巣手術を受けたcStage II、III下部直腸癌58症例を対象とした。LLN転移の術前診断基準は、MRIにて短径5mm以上を陽性とした。MRI陽性症例で陽性側の側方郭清を併施した。
【結果】放射線単独群(RT)は15例、化学放射線療法群(CRT)は20例、化学療法と放射線療法を施行した群(NACRT)は23例であった。RTは有意に高齢で、線量は全例で25Gyが選択されていた。LLNについては、前治療前MRI陽性例(cLLN+)はRT5例(33.3%)、CRT10例(50.0%)、NACRT5例(21.7%)であった。cLLN-、前治療後陰性(ycLLN-)の症例は、RT10例(66.7%)、CRT10例(50.0%)、NACRT18例(78.3%)例で、観察期間中LLN転移再発は認めなかった。cLLN-、ycLLN+となった症例は観察期間中認めなかった。cLLN+、ycLLN-となった症例は、CRT5例(50.0%)、NACRT3例(60.0%)、RT1例(20.0%)であった。cLLN+、ycLLN+であった症例はCRT5例(50.0%)、NACRT2例(40.0%)、RT4例(80.0%)であった。cLLN+、ycLLN-となった症例の、病理学的陽性率はCRT0例(0%)、NACRT1例(33.3%)、RT0例(0%)であった。cLLN+、ycLLN+であった症例の、病理学的陽性率はCRT4例(80.0%)、NACRT2例(100%)、RT2例(50.0%)であった。2年生存率、無再発生存率に有意差はなかった。
【結語】cLLN+では、ycLLN-となっても、陽性側の側方郭清を要すると考えられる。
【方法】2020年1月~2025年3月に、当科で術前後高解像度MRIにて評価し、術前放射線治療後に原発巣手術を受けたcStage II、III下部直腸癌58症例を対象とした。LLN転移の術前診断基準は、MRIにて短径5mm以上を陽性とした。MRI陽性症例で陽性側の側方郭清を併施した。
【結果】放射線単独群(RT)は15例、化学放射線療法群(CRT)は20例、化学療法と放射線療法を施行した群(NACRT)は23例であった。RTは有意に高齢で、線量は全例で25Gyが選択されていた。LLNについては、前治療前MRI陽性例(cLLN+)はRT5例(33.3%)、CRT10例(50.0%)、NACRT5例(21.7%)であった。cLLN-、前治療後陰性(ycLLN-)の症例は、RT10例(66.7%)、CRT10例(50.0%)、NACRT18例(78.3%)例で、観察期間中LLN転移再発は認めなかった。cLLN-、ycLLN+となった症例は観察期間中認めなかった。cLLN+、ycLLN-となった症例は、CRT5例(50.0%)、NACRT3例(60.0%)、RT1例(20.0%)であった。cLLN+、ycLLN+であった症例はCRT5例(50.0%)、NACRT2例(40.0%)、RT4例(80.0%)であった。cLLN+、ycLLN-となった症例の、病理学的陽性率はCRT0例(0%)、NACRT1例(33.3%)、RT0例(0%)であった。cLLN+、ycLLN+であった症例の、病理学的陽性率はCRT4例(80.0%)、NACRT2例(100%)、RT2例(50.0%)であった。2年生存率、無再発生存率に有意差はなかった。
【結語】cLLN+では、ycLLN-となっても、陽性側の側方郭清を要すると考えられる。