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[O9-4]左側大腸癌手術における予防的横行結腸ストーマ造設術

神 寛之, 守屋 拓実, 山田 貴大, 三橋 佑人, 内田 知顕, 木村 憲央, 加藤 雅志, 川嶋 啓明, 豊木 嘉一 (青森市民病院外科)
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【はじめに】左側大腸癌手術において予防的ストーマ造設では回腸ストーマを選択することが多いが,術後にhigh output stoma(HOS),脱水,腎機能障害をきたす懸念があり,当院では2021年から横行結腸ストーマを第一選択としている.【方法と対象】2017年~2024年の期間に定時の左側大腸癌手術時に予防的ストーマ造設術を併施した症例について,回腸ストーマと横行結腸ストーマの手術成績を後方視的に比較検討した.【結果】回腸ストーマ造設(I群) 38例,横行結腸ストーマ造設(T群) 22例,年齢,性別では差を認めなかったが,I群でASA 3以上の割合が多く(P= 0.04),BMI が高かった(P= 0.03).T群で腹腔鏡手術の割合が多く(P< 0.01),出血量が少なかった(P< 0.01) が,郭清度,手術時間は変わらなかった.Clavien-Dindo Grade II 以上の合併症はI群で多く(P= 0.02),ストーマ出口症候群を含む腸閉塞が多かった(P= 0.04).HOSはすべてI群でみられ(I群:7例,T群:0例,P= 0.04),一時的なeGFR 低下が認められ(I群:13%低下,T群:1%低下,P< 0.01),うち1例が慢性腎臓病へ移行した.T群では食事開始が早く(I群:5日,T群:3日,P< 0.01),術後に要する補液が少なく(I群:14日,T群:6日,P< 0.01),術後在院日数も短かった(I群:28日,T群:19.5日,P= 0.03) .手術後1年の時点でストーマ閉鎖していないのはI群2例,T群:0例,ストーマ閉鎖術時の術後合併症は両群で有意差を認めなかった.【結論】予防的横行結腸ストーマ造設術は現時点で大きな問題がなく,回腸ストーマ特有の合併症を回避するための選択肢になると思われた.手術時期,患者背景,手術アプローチなどに偏りがある後方視的な検討であるため,今後も症例を集積し検討していきたい.