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[P1-1]診断に難渋した結腸憩室由来のS状結腸癌の一例

岡野 美穂1,2, 長岡 慧1, 中塚 梨絵1, 間狩 洋一1, 真貝 竜史1, 大島 聡1, 長谷川 順一2 (1.近畿中央病院外科, 2.市立貝塚病院外科)
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はじめに:大腸憩室症が大腸癌に合併することは時々経験するが、大腸憩室からの発生が示唆される大腸癌は極めてまれである。今回我々は憩室由来を示唆されたS状結腸癌を経験したので、報告する。症例は、80代女性。頻尿を主訴に近医泌尿器科を受診し、触診にて下腹部に腫瘤を指摘され当院婦人科受診となった。CTおよびMRIにて子宮の腹側に、S状結腸に広く接しており膀胱後壁に浸潤している8cm大の骨盤腫瘍を認めた。S状結腸癌を疑い外科紹介となったが、S状結腸に壁肥厚像はあきらかでなく、大腸内視鏡を行ったが、腫瘍の圧排で、S状結腸まで観察できなかった。CEA35.1ng/ml、CA19-9 59U/mlであった。遠隔転移を認めず、膀胱合併切除をおこなえば切除可能と判断し、手術となった。開腹すると、S状結腸に強く接して巨大腫瘤がありその背側で膀胱浸潤を認めたため、S状結腸切除および膀胱部分切除、回腸導管、両側附属器および子宮合併切除をおこない、根治術となった。手術時間437分、出血量1600gであった。術中迅速病理結果では膀胱由来の腺癌との診断となったが、最終病理結果で、憩室由来のS状結腸癌との診断に至った。
術後合併症なく、手術から1年3か月経過したが、無再発生存中である。きわめてまれな憩室由来のS状結腸癌を経験した。文献的考察を加えて報告する。