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[P14-5]高齢者直腸癌におけるロボット支援手術の短期・長期成績

小川 聡一朗, 栗生 宜明, 藤田 悠司, 永守 遼, 伊藤 駿, 松本 順久, 小西 智規, 松尾 久敬, 小松 周平, 生駒 久視, 岡本 和真, 大辻 英吾 (京都第一赤十字病院消化器外科)
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【背景と目的】
2018年より直腸癌に対するロボット支援手術(Robot-assisted surgery: RS)が保険適応となった。当院では、80歳以上の高齢患者が多く、高齢者に対しても積極的にRSを施行しているが、高齢者におけるRSの有用性についてはまだ明らかではない。高齢者におけるRSの短期成績および長期成績について腹腔鏡下手術 (Laparoscopic surgery: LS)と比較し、安全性および有用性を明らかにする。
【対象と方法】
2019年から2023年に当院で手術を施行した大腸癌症例(n=681)のうち、80歳以上の直腸癌手術症例(n=43)に対して、開腹術、人工肛門造設術のみを除外した症例を、RS群(n=19)とLS群(n=18)に分け、短期成績について後方視的に検討した。また、長期成績について、高齢者直腸癌(pStageII, III)症例を、RS群(n=14)とLS群(n=11)に分け、後方視的に検討した。
【結果】
RS群とLS群で性別、年齢、BMI、ASA、術前Alb値、術前治療の有無に差はなかった。手術時間、出血量はRS/LS=365分 (219-736)/321分 (184-507)、RS/LS=5g(1-320)/1g(1-250)とRS群で手術時間が長い傾向にあったが、有意差はなかった。術式はRS群でHartmann/HAR/LAR/vLAR/APR=0/5/7/5/2, LS群でHartmann/HAR/LAR/vLAR/APR=2/3/10/2/1で、両群で開腹移行はなかった。Clavien-Dindo GradeII以上の術後合併症は、RS/LS=5/2で有意差はなかった。尿閉、腸閉塞、縫合不全は、RS/LS=1/0, 3/3, 1/1で差はなかった。術後在院日数は、RS/LS=10日(6-21)/15.5日(7-62)(p=0.04)と有意にRS群で短かった。長期成績は、3年OS: RS/LS=84.4%/76.2%, 3年RFS: RS/LS=77.9%/60%で差はなかった。再発形式は、血行性転移:RS/LS=3/3であり、差はなかった。
【結語】ロボット支援手術は80歳以上の高齢者においても、腹腔鏡下手術と比較して同等に安全に施行されており、長期成績でも腹腔鏡下手術と差はみられなかった。ロボット支援手術は術後在院日数を短縮させる可能性があるが、有用性については今後も症例を蓄積して検討していく必要がある。