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[P15-5]80歳以上の高齢者大腸癌手術におけるGNRIを用いた術前栄養リスク評価の検討

水元 理絵1,2, 三吉 範克1,2, 関戸 悠紀1, 竹田 充伸1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 植村 守1, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学, 2.大阪国際がんセンター研究所がん医療創生部)
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担癌患者において、術前の低栄養状態は術後合併症や予後に影響を与えることが報告されている。これまでも、PNI(prognostic nutritional index)やGNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)といった簡便な栄養指標を用いて高齢者大腸癌患者の手術リスクが考察されてきている。また、大腸癌は依然全国がん罹患率1位を示し、超高齢化社会に伴い、今後も高齢者が外科的治療を受ける機会が更に増加していくことが予測される。本研究では、今後症例数の増加が見込まれる80歳以上の高齢大腸癌症例に対象を絞り、術前の栄養状態をGNRIを用いて評価し、高齢者大腸癌手術予後との関連性を検討した。
対象を2004年~2019年に当院にて根治切除が施行された80歳以上の大腸癌(直腸癌を含む)症例とし、後ろ向きに検討を行った。GNRI=1.487×血清Alb値+41.7×術前体重/理想体重で算出し、術後生存期間、再発との関連性を検証した。GNRIのカットオフ値は、2004~2013年手術施行症例群からReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線により算出した。GNRI=97.5をカットオフ値とし、高GNRI群と低GNRI群に分類した。2004~2019年手術施行症例を対象症例とし、カプラン・マイヤー曲線にて生存時間分析を行い、低GNRI群は高GNRI群と比較し、術後生存期間が有意に短くなる傾向を認めた。また、術後生存期間について、Cox比例ハザードモデルを用いて解析を行い、低GNRIによる有意なリスクの上昇を認めた。以上から、80歳以上の高齢大腸癌手術症例においても、GNRIは術前栄養リスク評価として簡便に用いることができる有用な指標になると考えられる。