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[P16-1]85歳以上超高齢者大腸がん患者の手術成績と75歳以上高齢者との比較

外山 平, 天野 正弘, 淺田 恵美, 佐藤 美咲紀, 村上 加奈, 桑原 明菜, 木村 都旭, 宇宿 真一郎, 細井 則人, 首藤 介伸, 堀尾 裕俊, 宮崎 国久 (東京北医療センター外科)
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【背景】本邦では高齢化が進んでおり、2024年9月の段階で65歳以上の割合が29.3%、80歳以上の割会が10.4%といずれも過去最高を記録している。大腸がんの罹患数も依然増加傾向であり、今後高齢者に対する大腸がん手術症例は増加していくことが予想される。そこで今回、当院における85歳以上の超高齢者大腸がん患者の手術症例を集積し、75歳以上の高齢者と比較検討を行ったので報告する。【対象と方法】対象は2022年4月〜2025年3月の間に当院で大腸がんに対して予定手術を行なった75歳以上の患者(大腸ステント留置例、緊急入院例を除く)。75歳〜84歳の高齢者群と85歳以上の超高齢者群に分け、それぞれの短期成績を集積、比較検討を行なった。統計解析はt検定とカイ2乗検定を用い、p<0.05をもって統計学的有意差ありとした。【結果】75歳〜84歳の高齢者群は76例、85歳以上の超高齢者群は26例集積された。超高齢者群の平均値は年齢が87.7歳、手術時間が190分、術後食事再開期間は3.65日、術後在院日数は16.3日だった。Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症は3例(11.5%)あったが、周術期死亡はなかった。高齢者群と比較すると、心疾患等の併存疾患や術前の血液検査の値に差はなかったが、有意に運動耐容能(METs)は低く、ASA-PS分類は高かった。また術後食事再開期間や合併症発生率に差はなかったが、術後在院日数は超高齢者群16.3日、高齢者群11.2日と超高齢者群は有意に延長する結果となった。【考察】過去に75歳未満の若年者と75歳以上の高齢者を比較した報告は複数あり、その多くは高齢者群の方が有意にASA-PS分類が高く術後在院日数は延長するものの、手術時間や術後合併症発生率に差はないという結果となっていた。本検討でも概ね同様の結果であったが、食事再開期間や合併症発生率に差がないにも関わらず、術後在院日数が延長する理由としては、退院先や転院先の受け入れ準備といった社会的要因が関与していることが推察された。【結語】85歳以上超高齢者大腸がん患者は75歳以上高齢者と比較して、術後在院日数は延長するものの術後短期成績は同等であり、安全に手術を行うことが可能である。