Presentation Information
[P2-2]当院におけるLAMN切除11症例に関する検討
梅野 紘希1,2, 中津 宏基1 (1.市立八幡浜総合病院外科, 2.徳山中央病院外科)
【背景】
低異型度虫垂粘液性腫瘍(Low-grade appendiceal mucinous neoplasm: LAMN)は、大腸癌取扱い規約第8版に新たに記載された比較的新しい疾患概念であり、標準化された診療ガイドラインが確立されていない。そのため、治療方針の確立には、症例の蓄積と検討が求められる。
【対象・方法】
当科にて2019年4月から2024年11月までに外科的切除された11症例を集積検討した。
【結果】
11症例の内訳は54~87歳(中央値78歳)で、男女比は男性7例、女性4例であった。主訴は腹痛が8例、無症状が3例であった。術前CTによる虫垂の最大径は10~54mm(平均25mm)であった。手術の内訳は、予定手術が8例、緊急手術が3例であった。予定手術のうち、1例は患者の同意を得られず、残りの7例で術前に下部消化管内視鏡検査によるスクリーニングを実施した。術前診断では、11例中7例が虫垂粘液腫と診断され、残りの4例は虫垂炎(穿孔性を含む)と診断されていた。術式は、虫垂切除が4例、盲腸部分切除が4例、回盲部切除が3例であり、回盲部切除の郭清範囲はD0が1例、D2が1例、D3が1例であった。術後の入院期間は3~26日(中央値11日)であり、虫垂腫瘍の切除に関連する術後合併症は認められなかった。現在までに、患者の同意が得られた8例に対し、大腸癌術後に準じたフォローアップを実施しているが、再発は認められていない。
【考察】
LAMNは低悪性度腫瘍であるが、腫瘍破裂により粘液が漏出し腹膜偽粘液腫を引き起こす可能性がある。そのため、再発を防ぐには (1)術前および術中診断の精度向上 (2)粘液漏出を防ぐ適切な術式の選択 (3)術後病理診断に基づく追加治療の適否判断 を行う必要がある。LAMNは再発リスクを有する疾患であるため、術前評価の段階から再発予防を念頭に置いた治療計画を策定することが重要である。また、術後は大腸癌のフォローアップに準じた定期的な検査を実施することで、再発リスクの適切な管理が可能であると考えられる。
低異型度虫垂粘液性腫瘍(Low-grade appendiceal mucinous neoplasm: LAMN)は、大腸癌取扱い規約第8版に新たに記載された比較的新しい疾患概念であり、標準化された診療ガイドラインが確立されていない。そのため、治療方針の確立には、症例の蓄積と検討が求められる。
【対象・方法】
当科にて2019年4月から2024年11月までに外科的切除された11症例を集積検討した。
【結果】
11症例の内訳は54~87歳(中央値78歳)で、男女比は男性7例、女性4例であった。主訴は腹痛が8例、無症状が3例であった。術前CTによる虫垂の最大径は10~54mm(平均25mm)であった。手術の内訳は、予定手術が8例、緊急手術が3例であった。予定手術のうち、1例は患者の同意を得られず、残りの7例で術前に下部消化管内視鏡検査によるスクリーニングを実施した。術前診断では、11例中7例が虫垂粘液腫と診断され、残りの4例は虫垂炎(穿孔性を含む)と診断されていた。術式は、虫垂切除が4例、盲腸部分切除が4例、回盲部切除が3例であり、回盲部切除の郭清範囲はD0が1例、D2が1例、D3が1例であった。術後の入院期間は3~26日(中央値11日)であり、虫垂腫瘍の切除に関連する術後合併症は認められなかった。現在までに、患者の同意が得られた8例に対し、大腸癌術後に準じたフォローアップを実施しているが、再発は認められていない。
【考察】
LAMNは低悪性度腫瘍であるが、腫瘍破裂により粘液が漏出し腹膜偽粘液腫を引き起こす可能性がある。そのため、再発を防ぐには (1)術前および術中診断の精度向上 (2)粘液漏出を防ぐ適切な術式の選択 (3)術後病理診断に基づく追加治療の適否判断 を行う必要がある。LAMNは再発リスクを有する疾患であるため、術前評価の段階から再発予防を念頭に置いた治療計画を策定することが重要である。また、術後は大腸癌のフォローアップに準じた定期的な検査を実施することで、再発リスクの適切な管理が可能であると考えられる。