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[P20-5]超音波内視鏡下経直腸的ドレナージによる骨盤内膿瘍の治療が奏功した2例
北浦 良樹, 王 佳雄, 長尾 晋次郎, 持留 直希, 豊田 秀一, 石川 奈美, 土居 布加志 (大阪回生病院)
【背景】憩室穿孔などを原因とした骨盤内膿瘍に対し、安全な穿刺ラインが確保できないことで経皮的アプローチが選択できない症例を多く経験する。このような症例に対し、超音波内視鏡を用いて経腸ドレナージを行って治療効果が得られたという報告もある。しかし未だ報告例は少なく、一般的な手技とは言い難い。今回、我々は経皮的アプローチが困難な骨盤内膿瘍を有する2症例に対して超音波内視鏡下経腸ドレナージを行って良好な結果を得ることができたため、文献的考察を加えて報告する。【方法】抗生剤抵抗性の骨盤内膿瘍形成症例に対して経腸的ドレナージを行い、炎症反応・発熱・画像での縮小程度・再発有無を評価した。【結果】1例目は腹痛を主訴に近医を受診。CTでfree airを指摘され当院を紹介となった69歳女性。free airは微量であり、膿瘍も限局していたことから保存加療を選択。抗生剤投与で腹痛および炎症反応は改善したが、膿瘍縮小得られず。経腸的にENBDチューブ、ERBDチューブを膿瘍内に留置し、洗浄することで早期に膿瘍は消失した。2例目は高位筋間痔瘻に起因する直腸周囲膿瘍を有する76歳男性。経皮的ドレナージが困難であり、経腸的にdouble pig tailを留置。ドレナージ良好で膿瘍は速やかに消失した。【考察】超音波内視鏡を用いた経腸ドレナージは低侵襲で有効な治療法であり、従来の外科的介入に比べて患者の回復が早いことが利点である。また、骨盤内膿瘍の位置や大きさに関わらず施行可能であり、予備能の低い患者にも良い適応となると考えられた。【結語】本法は日本における症例報告がまだ限られているため、今後さらなる研究と臨床データの蓄積が求められる。