Presentation Information
[P21-1]急激な転帰をたどった直腸扁平上皮癌の1切除例
宮宗 秀明, 斧田 尚樹, 大元 航暉, 高橋 立成, 岡林 弘樹, 内海 方嗣, 北田 浩二, 濱野 亮輔, 徳永 尚之, 寺石 文則, 常光 洋輔, 大塚 眞哉, 稲垣 優 (独立行政法人国立病院機構福山医療センター外科)
直腸原発の扁平上皮癌はまれであり、原発性直腸癌に占める割合は0.25~1%といわれている。今回、我々は、急激な転帰をたどった直腸扁平上皮癌の1切除例を経験したので報告する。症例は、64歳、男性。検診にて便潜血陽性となり下部消化管内視鏡検査を施行したところ、直腸S状部に半周性の2型病変を認め生検にて低分化腺癌と診断された。腹腔鏡下直腸高位前方切除術を施行したが、術後病理検査では、扁平上皮癌との診断であった。pT3N0M0-pStageⅡaにて、術後補助化学療法は施行しなかった。術後6カ月後に施行したCT検査にて多発肝転移を認め、FOLFOX+Bevacizumabを開始した。PDであったため、FOLFIRI+Panitumumabに変更したが、病状の進行により、術後12カ月目に亡くなられた。上記症例を含め、本邦にて報告された直腸扁平上皮癌の14例を検討した。男性9例、女性5例、平均64歳であった。10例において術前に扁平上皮癌の診断がなされていた。CEAは3例にて、CA19-9は1例にて高値であった。6例にて術前にSCCが測定されており、4例において高値であった。T3が7例、T4bが7例と進行症例が多かった。7例にリンパ節転移を認めた。遠隔転移は2例に認めていた。再発形式は、骨盤内再発が3例、肝転移が3例、リンパ節転移が3例、肺転移が2例、骨転移が2例、腹膜播種再発が2例であった。大腸扁平上皮癌は腺癌に比べ予後不良であるといわれるが、当院での症例も同様であった。しかし、近年においては、術前放射線化学療法が行われている症例が多く、以前に比し予後良好な傾向にあった。術前治療による予後の改善が示唆された。