Presentation Information
[P21-5]肛門周囲紅斑を契機に診断され、傍大動脈リンパ節転移を伴っていた肛門管癌のPagetoid spreadの一例
小橋 創, 黒柳 洋弥, 戸田 重夫, 上野 雅資, 花岡 裕, 福井 雄大, 平松 康輔, 前田 裕介, 呉山 由花, 富田 大輔, 高橋 泰宏 (虎の門病院消化器外科(下部消化管))
【背景】
乳房外Paget病様の皮膚病変を呈する大腸癌のPagetoid spreadは稀であり、皮膚病変を契機に消化管癌が診断される症例は少ない。また、内視鏡所見上は早期癌様に見える病変であっても、すでに進行癌の様相を呈していることがある。
【症例】
症例は84歳男性。肛門周囲の違和感を主訴に近医を受診。鏡検でカンジダ陽性と診断され外用療法で経過観察されていたが、浸軟や白苔の改善後も境界明瞭な紅斑が残存していたため、乳房外Paget病の除外目的に当院皮膚科に紹介となった。生検病理で腺癌を認め、免疫染色でCK7+<CK20+、GCDFP15−、p63−、CK5/6−、CDX2+と、大腸癌のPagetoid spreadを示唆する所見であった。下部消化管内視鏡検査では歯状線に連続する扁平隆起性病変を認め、内視鏡的には早期癌を疑う所見であったため、内視鏡合同で経肛門的腫瘍切除を施行された。病理は高分化型腺癌、sm(0.7mm)、ly2+、v1+、断端陰性で追加切除適応と判断され当科紹介となった。ロボット支援下直腸切断術が予定されたが、術前精査を行なったところ、CA19-9および抗p53抗体は正常範囲であったが、CEAが1716.8と著明に上昇していた。また、CT・MRIでは両側鼠径リンパ節から傍大動脈リンパ節にかけての連続性の腫大があり、PETでも同部位に異常集積を認めたため、手術中止の上、化学療法施行の方針となった。本症例は腫瘍切除後12ヶ月で死亡した。
【結語】
肛門周囲紅斑という皮膚病変を契機に発見され、内視鏡的には早期癌様にみえた肛門管癌が、すでに傍大動脈リンパ節転移を伴う進行癌であった稀な一例である。Pagetoid spreadを呈する病変では、皮膚病変の鑑別診断に加え、全身精査による病期診断が重要である。
乳房外Paget病様の皮膚病変を呈する大腸癌のPagetoid spreadは稀であり、皮膚病変を契機に消化管癌が診断される症例は少ない。また、内視鏡所見上は早期癌様に見える病変であっても、すでに進行癌の様相を呈していることがある。
【症例】
症例は84歳男性。肛門周囲の違和感を主訴に近医を受診。鏡検でカンジダ陽性と診断され外用療法で経過観察されていたが、浸軟や白苔の改善後も境界明瞭な紅斑が残存していたため、乳房外Paget病の除外目的に当院皮膚科に紹介となった。生検病理で腺癌を認め、免疫染色でCK7+<CK20+、GCDFP15−、p63−、CK5/6−、CDX2+と、大腸癌のPagetoid spreadを示唆する所見であった。下部消化管内視鏡検査では歯状線に連続する扁平隆起性病変を認め、内視鏡的には早期癌を疑う所見であったため、内視鏡合同で経肛門的腫瘍切除を施行された。病理は高分化型腺癌、sm(0.7mm)、ly2+、v1+、断端陰性で追加切除適応と判断され当科紹介となった。ロボット支援下直腸切断術が予定されたが、術前精査を行なったところ、CA19-9および抗p53抗体は正常範囲であったが、CEAが1716.8と著明に上昇していた。また、CT・MRIでは両側鼠径リンパ節から傍大動脈リンパ節にかけての連続性の腫大があり、PETでも同部位に異常集積を認めたため、手術中止の上、化学療法施行の方針となった。本症例は腫瘍切除後12ヶ月で死亡した。
【結語】
肛門周囲紅斑という皮膚病変を契機に発見され、内視鏡的には早期癌様にみえた肛門管癌が、すでに傍大動脈リンパ節転移を伴う進行癌であった稀な一例である。Pagetoid spreadを呈する病変では、皮膚病変の鑑別診断に加え、全身精査による病期診断が重要である。