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[P23-1]第9版大腸癌取り扱い規約におけるstageII,III大腸癌の予後と術後補助化学療法の検討

松中 喬之1, 森川 充洋1, 前川 展廣1, 嶋田 通明1, 田海 統之1, 澤井 利次1, 小練 研司1, 玉木 雅人1, 廣野 靖夫2, 五井 孝憲1 (1.福井大学第一外科, 2.福井大学がん診療推進センター)
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【背景】第9版大腸癌取り扱い規約ではstageII, IIIはTNM分類に準じ深達度・リンパ節転移の個数にて細分化された.当科におけるstageII, III症例の第9版における予後の比較および術後補助化学療法の関連について検討する.
【方法】当科のII, III大腸癌切除症例498例(2007‐2019年)の第9版における予後の比較,術後補助化学療法の関連について検討した. Stageの内訳は第8版分類でII/IIIa/IIIb:233/177/88例, 第9版分類でIIa/IIb/IIc/IIIa/IIIb/IIIc:130/83/20/48/141/76例であった. 各ステージにおける疾患特異的生存率 (Desiase-specific survival rate:DSS), 無再発生存期間(Disease-free survival: DFS)についてKaplan-Meier法を用いて検討を行った.
【結果】第8版II/IIIa/IIIbにおいて5年生存期間(5yDSS)は95/86/68%(p<0.001),5年無再発生存率(5yDFS)は88/78/52%(p<0.001)であった.第9版IIa/IIb/IIcの5yDSSは98/98/82%(p=0.158),5yDFSは92/85/76%(p=0.148)でありIIcの予後が不良であった.第9版IIIa/IIIb/IIIcの5yDSSは96/87/61%(p<0.001),5yDFSは83/76/44%(p<0.001)でありIIIcの予後は有意に不良であった.また、術後補助化学療法は, IIa/IIb/IIc/IIIa/IIIb/IIIcにおいて15/36/45/71/60/72%に施行されており,各stageで術後補助化学療法の有無にて予後を比較した.StageIIIでは術後補助化学療法施行群において, いずれの群でもDSSが良好であった(5yDSS,IIIa:100%vs85%, p=0.003, IIIb:93%vs75%, p=0.004, IIIc:71%vs31%, p=0.003).一方で, DFSはStageIIIaで補助化学療法施行群において有意に良好であり, 他のStageでも良好な傾向がみられたが, 有意差は認めなかった(5yDFS,IIIa:91%vs64%, p=0.017, IIIb:81%vs68%, p=0.791, IIIc:52%vs22%, p=0.814).StageIIcは症例数が少なく有意差は認められなかったものの, 補助化学療法施行群においてDSS, DFSがともに良好な傾向がみられた(5yDSS:100%vs67%,p=0.821, 5yDFS:98%vs67,p=0.259).
【まとめ】第9版おけるStage細分化により, 再発リスクの層別化が可能となった.各Stageにおける至適化学療法レジメンや期間については症例蓄積の上, 更なる検討を要すると考えられる.