Presentation Information
[P24-3]蛋白漏出性胃腸症の合併が疑われた下行結腸癌の1例
淺野 博, 金 晟徹, 鈴木 将臣, 髙山 哲嘉, 高木 誠, 伏島 雄輔 (埼玉医科大学消化器・一般外科)
症例は46歳女性。3か月前から体調不良と腹痛を自覚するようになり体動困難となったため近医に救急搬送され、左側結腸を占める巨大腫瘍を認め当科紹介となった。CTでは左側腹部に約10cm大の腫瘤を認め、横行結腸及び下行結腸に浸潤が疑われた。下部消化管内視鏡検査では下行結腸に狭窄があり内視鏡の通過は困難であった。狭窄部の生検では炎症所見のみであった。血液生化学所見で総蛋白3.8 g/dL、アルブミン0.5 g/dLと低蛋白血症を認めた。悪性リンパ腫や大腸癌を疑手術を施行した。術中所見では腫瘍は左側横行結腸及び下行結腸と一塊となっていた。腫瘍の一部を迅速診に提出すると腺癌が検出されたため、左側結腸切除術及びD3廓清を行った。永久病理診断では下行結腸癌の横行結腸浸潤と診断、中分化腺癌でT4bN0M0 p-stage IIcであった。術後は縫合不全や創部感染などの合併症はなかったが、術前よりADLが低下していたためリハビリテーションに長期間を要した。総蛋白6.6 g/dL、アルブミン2.9g/dLまで改善し術後46日目に退院となった。
巨大腫瘍に伴う低蛋白血症は蛋白漏出性胃腸症を疑う。術後の合併症を危惧し手術のタイミングに苦慮するが、蛋白の補正に固辞せず速やかに手術に移行することが肝要である。
巨大腫瘍に伴う低蛋白血症は蛋白漏出性胃腸症を疑う。術後の合併症を危惧し手術のタイミングに苦慮するが、蛋白の補正に固辞せず速やかに手術に移行することが肝要である。