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[P24-5]逆行性に腸重積をきたしたS状結腸癌の1例

加藤 宗次郎1, 四万村 司1, 相馬 未来1, 泉家 匠1, 石井 将光1, 大島 隆一1, 片山 真史1, 谷口 清章1, 朝倉 武士1, 民上 真也2 (1.川崎市立多摩病院消化器・一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科)
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症例は60歳の女性. 2025年4月,便秘傾向で近医受診. 緩下剤を処方されたが排便認めず, 腹痛の出現を認めたため当院を受診した. 受診時炎症反応の上昇と左下腹部に自発痛と腹膜刺激症状を認め、腹部造影CTでS状結腸に腫瘍性病変をみとめ、その病変を先進部として下行結腸に逆行性の腸重積を認めていた. 腹部所見が強いため同日緊急手術を施行した.
術中に腹腔内を観察すると術前診断通りにS状結腸を先進部とし, 下行結腸脾弯曲部付近まで逆行性に腸重積をきたしていた. Hutchinson手技により重積を解除し得た. 先進部に腫瘍性病変を伴っていたため, S状結腸切除を施行した. 術後経過は良好で術後8日で退院となった。
大腸の逆行性腸重積は非常にまれな疾患で, 腸管輪状筋の痙性収縮による一時的な腸管の口側への移動が原因と考えられている. 逆行性蠕動に加えて隆起性病変の存在が必要であるとも報告されている.
今回、逆行性に腸重積をきたしたS状結腸癌の1例を経験したので, 若干の文献学的考察を加え報告する.