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[P26-6]大腸および肛門管原発MiNENの3例

濱崎 友洋, 澤田 絋幸, 吉本 匡志, 真島 宏聡, 桂 祐貴, 谷口 文崇, 佐藤 太祐, 吉田 龍一, 丁田 泰宏, 吉満 政義, 中野 敢友, 白川 靖博, 松川 啓義 (広島市立広島市民病院外科)
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【背景】消化管原発神経内分泌腫瘍はWHOによる疾患定義が変遷し, 神経内分泌腫瘍と非神経内分泌腫瘍がそれぞれ30%以上混在する混合性腫瘍はWHO2019よりmixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)と定義され, 比較的稀な疾患である. 今回我々は, 大腸および肛門管原発MiNENの3例を経験したので報告する.
【対象・方法】2018年1月から2024年12月までに当院の大腸癌データベースに登録された症例のうち大腸もしくは肛門管原発MiNENと診断された3例について後方視的に解析した。
【結果】症例1は79歳男性, 血便の精査でS状結腸癌を指摘され, tub1-tub2, cT3N0M0, cStageⅡaの診断で腹腔鏡下ハルトマン手術(D3)を施行した. 病理組織学的検査でMiNEN(管状腺癌: 30%, NEC: 70%), pT3N0と診断された. 慢性腎臓病の既往があり術後補助療法は施行せず. 無再発であったが術後36か月目, 腎臓癌のため死亡した. 症例2は83歳女性, 近医で左鼠径部腫瘤, CEA上昇を指摘された. 左鼠径部腫瘤生検でNECと診断された. 下部消化管内視鏡で歯状線近傍, 肛門管に1型腫瘤を指摘され, 生検でMiNEN(腺癌とNECが混在)と診断された. 肛門管原発MiNEN, 鼠径リンパ節転移と診断し, カルボプラチン+エトポシド併用化学療法を4コース施行した. 腫瘍病勢の増悪を認めアムルビシン単剤化学療法を4コース施行したが, 低栄養のため化学療法継続困難となり, 診断から2年5ヶ月目に現病死した. 症例3は82歳男性, 便潜血の精査で上行結腸癌を指摘され, tub2-muc, cT3N0M0, cStageⅡaの診断で腹腔鏡補助下結腸右半切除術(D3)を施行した. 病理組織学的検査で上行結腸原発MiNEN(腺癌とNECが混在) pT3N0と診断された. 患者希望で術後補助療法は施行せず. 術後5年無再発生存している.
【考察】MiNENは予後不良とされており, NEC成分が混在している場合は予後規定因子となることが多い. 今回, 切除不能症例については予後不良であったが, 根治切除を施行した2例については長期生存を得ていた.
【結語】今回, 大腸および肛門管癌MiNENの3例を経験した. MiNEN切除不能進行例は予後不良であり, 今後の化学療法の進歩が待たれるところである.