Presentation Information

[P27-5]S状結腸癌異時性腹直筋再発、膀胱浸潤に対して集学的治療にて治癒切除、腹壁再建を行なった1例

美濃地 貴之1, 池永 雅一1, 藤原 敏宏2, 東郷 容和3, 澤崎 純哉1, 村西 耕太郎1, 西垣 貴彦1, 太田 英夫1, 新井 勲1, 松下 一行1, 杉本 圭司1 (1.川西市立総合医療センター外科, 2.川西市立総合医療センター形成外科, 3.川西市立総合医療センター泌尿器科)
PDF DownloadDownload PDF
[背景]
大腸癌の腹直筋への転移は稀であり、その予後は一般に不良とされる。本症例では、異時性に発症したS状結腸癌の腹直筋転移および膀胱浸潤に対して、化学療法後に治癒切除を行った1例を報告する。
[症例]
60歳代女性。血尿、膀胱タンポナーデ、下腹部痛を主訴に近医から紹介された。12年前に腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)、10年前に右卵巣転移に対して付属器切除、7年前には右肺上葉および中葉切除を受け、その後再発なく経過していた。精査のCT検査で右腹直筋に10cm大の腫瘤を認め、膀胱壁への浸潤も疑われた。CTガイド下生検で、免疫染色CK7-, CK20+,CDX-2+の所見からS状結腸癌の腹直筋転移および膀胱浸潤と診断された。
腫瘍はBulkyであり、膀胱への浸潤も広範囲であったため、術前化学療法としてFOLFIRI+Bevを6コース施行した。効果判定は部分奏効(PR)であり、切除可能と判断した。右腹直筋切除、膀胱部分切除、そして腹壁再建にVentrio Hernia Patch(11×15cm)を用いた手術を施行した。手術時間は5時間6分、出血量は50mlであった。術後は特記すべき合併症なく、術後14日目に退院した。
術後の病理検査では、S状結腸癌の腹直筋転移であり、断端は陰性であった。
[結語]
異時性のS状結腸癌の腹直筋転移および膀胱浸潤に対して、集学的治療を施行し治癒切除を達成した1例を報告した。大腸癌の腹直筋転移は予後が不良なことが多いため、治療方針を慎重に決定する必要がある。また、腹壁欠損に対する再建術の適応についても慎重な判断が求められる。