Presentation Information
[P29-1]S状結腸がん術後9年目に甲状腺再発をきたした症例
木村 文彦1, 瀬戸 寛人1, 植野 吾郎1, 畠野 尚則1, 谷口 仁章1, 杉原 綾子2, 小野田 尚佳3, 廣川 満良4 (1.JCHO大阪みなと中央病院, 2.明和病院病理診断科, 3.隈病院外科, 4.隈病院病理診断科)
症例は62歳女性。9年前にS状結腸がんに対して、腹腔鏡下前方切除術を施行した。
最終病期はStage2 (ss, n0) であり,術後補助化学療法は施行しなかった。術後4年目に右肺S6の転移を来たし、胸腔鏡下肺部分切除を施行した。術後7年半目に右肺S3, 右肺S8+9の転移を認め、胸腔鏡下肺部分切除を施行した。術後8年目に左肺S3に転移を認め、CTガイド下ラジオ波焼灼治療を行った。CDX2とCD20が陽性、CX7が陰性であり、大腸癌の肺転移と診断された。
半年前に頚部のしこりを訴え、他院を受診した。甲状腺のエコーガイド下生検にて転移性甲状腺腫瘍と頸部リンパ節転移と診断された。PET検査では既知の甲状腺と頸部リンパ節以外に再発を疑う所見はなかった。MRIにて、反回神経浸潤が疑われ、準緊急的に甲状腺右葉切除、右頸部リンパ節郭清を施行した。腫瘍は反回神経から鋭的に剥離でき、嗄声は術後一時的であった。免疫組織染色でPAX-8陰性、TTF-I陰性、CEA陽性、CDX2陽性、CD20陽性、CX7陰性であり、頸部リンパ節転移を伴う大腸癌の甲状腺転移と診断された。甲状腺腫瘍はKi-67 labeling indexは、3+(約30%)であり、脈管浸潤、甲状腺周囲、横紋筋内に浸潤を認めた。腫瘍が反回神経、気管に接し、再発リスクが極めて高い症例であるため、術後早期の放射線化学療法をすすめたが、患者の同意が得られず、経過観察となった。甲状腺術後5ヶ月目で、甲状腺左葉と甲状腺右葉切除部の局所再発と肺転移微少転移が出現し、全身化学療法を開始した。化学療法治療歴がない症例であり、化学療法が著効することを期待したい。
大腸癌の甲状腺転移は本邦報告約40例と少ない。原発は直腸癌であることが多く、肺転移を有する症例が多い。甲状腺転移判明後、予後は不良な症例が多い。化学療法の効果について記載している文献はほとんど無かった。
まとめ)われわれはS状結腸癌術後9年目に甲状腺転移を合併した症例を経験した。甲状腺転移はまれな転移であるが、気道狭窄などQOLを著しく低下させ、生命予後に直結する再発形式であるので、転移を有する大腸癌を診療する際には、甲状腺転移も念頭において診療にあたるべきである。
最終病期はStage2 (ss, n0) であり,術後補助化学療法は施行しなかった。術後4年目に右肺S6の転移を来たし、胸腔鏡下肺部分切除を施行した。術後7年半目に右肺S3, 右肺S8+9の転移を認め、胸腔鏡下肺部分切除を施行した。術後8年目に左肺S3に転移を認め、CTガイド下ラジオ波焼灼治療を行った。CDX2とCD20が陽性、CX7が陰性であり、大腸癌の肺転移と診断された。
半年前に頚部のしこりを訴え、他院を受診した。甲状腺のエコーガイド下生検にて転移性甲状腺腫瘍と頸部リンパ節転移と診断された。PET検査では既知の甲状腺と頸部リンパ節以外に再発を疑う所見はなかった。MRIにて、反回神経浸潤が疑われ、準緊急的に甲状腺右葉切除、右頸部リンパ節郭清を施行した。腫瘍は反回神経から鋭的に剥離でき、嗄声は術後一時的であった。免疫組織染色でPAX-8陰性、TTF-I陰性、CEA陽性、CDX2陽性、CD20陽性、CX7陰性であり、頸部リンパ節転移を伴う大腸癌の甲状腺転移と診断された。甲状腺腫瘍はKi-67 labeling indexは、3+(約30%)であり、脈管浸潤、甲状腺周囲、横紋筋内に浸潤を認めた。腫瘍が反回神経、気管に接し、再発リスクが極めて高い症例であるため、術後早期の放射線化学療法をすすめたが、患者の同意が得られず、経過観察となった。甲状腺術後5ヶ月目で、甲状腺左葉と甲状腺右葉切除部の局所再発と肺転移微少転移が出現し、全身化学療法を開始した。化学療法治療歴がない症例であり、化学療法が著効することを期待したい。
大腸癌の甲状腺転移は本邦報告約40例と少ない。原発は直腸癌であることが多く、肺転移を有する症例が多い。甲状腺転移判明後、予後は不良な症例が多い。化学療法の効果について記載している文献はほとんど無かった。
まとめ)われわれはS状結腸癌術後9年目に甲状腺転移を合併した症例を経験した。甲状腺転移はまれな転移であるが、気道狭窄などQOLを著しく低下させ、生命予後に直結する再発形式であるので、転移を有する大腸癌を診療する際には、甲状腺転移も念頭において診療にあたるべきである。