Presentation Information
[P30-6]直腸NETのリンパ節転移のリスク因子の検討
岡崎 直人, 冨田 大輔, 柏木 惇平, 高橋 泰宏, 前田 裕介, 呉山 由花, 平松 康輔, 福井 雄大, 花岡 裕, 戸田 重夫, 上野 雅資, 黒柳 洋弥 (虎の門病院消化器外科)
【はじめに】
直腸NET(neuroendocrine tumor)は,その細胞増殖能に基づきNET G1,G2に分類される比較的まれな低悪性腫瘍とされているが,近年増加傾向にある.本邦では日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)によるガイドラインが作成されており,直腸NETに関し治療アルゴリズムが提示されている.
今回,我々は当院で直腸切除を施行した直腸NETに関し臨床病理学的検討を行い,リンパ節転移に対するリスク因子を検討した.
【方法】
対象は,2012年1月から2025年3月まで当院で直腸切除を施行した直腸NET 118 例とした.手術適応は,10mm以上の腫瘍およびリンパ節腫大を認めた10 mm未満の直腸NET,内視鏡切除もしくは経肛門局所切除を施行した後,脈管侵襲陽性もしくは断端陽性例とした.側方リンパ郭清は,術前画像検査で長径7㎜以上に腫大したリンパ節を認めた場合のみ施行した.
臨床病理学的因子(腫瘍径,深達度 SM/MP以深,脈管侵襲,Grade分類 G1/G2)とリンパ節転移に関し単変量解析および多変量解析を施行した.
【結果】
男性 76 例,女性 42例,年齢中央値54歳(24-88歳),観察期間中央値1686 日(112-4510日),手術は全例腹腔鏡もしくはロボット支援下で行い,肛門温存は117例,一時的回腸人工肛門を造設したのは74例であった.リンパ節転移は28例(24 %)認め,原病死は1 例,再発は5例,肝転移3例,リンパ節1例,局所再発1例を認めた.単変量解析では,腫瘍径10 mm以上(P = 0.04)およびリンパ管侵襲陽性の症例(P = 0.006)では,リンパ節転移陽性が有意に高かった.一方,静脈侵襲および深達度,Grade分類では有意差を認めなかった.これらの多変量解析でも同様に腫瘍径およびリンパ管侵襲がリンパ節転移のリスク因子であった(共にP = 0.006).
【考察】
直腸NETのリンパ節転移のリスク因子は腫瘍径およびリンパ管侵襲であった.直腸NETの手術では一時的な回腸人工肛門が必要な症例も多く,肛門機能の低下を招く可能性があるため手術適応に対し更なる検討が必要である.
直腸NET(neuroendocrine tumor)は,その細胞増殖能に基づきNET G1,G2に分類される比較的まれな低悪性腫瘍とされているが,近年増加傾向にある.本邦では日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)によるガイドラインが作成されており,直腸NETに関し治療アルゴリズムが提示されている.
今回,我々は当院で直腸切除を施行した直腸NETに関し臨床病理学的検討を行い,リンパ節転移に対するリスク因子を検討した.
【方法】
対象は,2012年1月から2025年3月まで当院で直腸切除を施行した直腸NET 118 例とした.手術適応は,10mm以上の腫瘍およびリンパ節腫大を認めた10 mm未満の直腸NET,内視鏡切除もしくは経肛門局所切除を施行した後,脈管侵襲陽性もしくは断端陽性例とした.側方リンパ郭清は,術前画像検査で長径7㎜以上に腫大したリンパ節を認めた場合のみ施行した.
臨床病理学的因子(腫瘍径,深達度 SM/MP以深,脈管侵襲,Grade分類 G1/G2)とリンパ節転移に関し単変量解析および多変量解析を施行した.
【結果】
男性 76 例,女性 42例,年齢中央値54歳(24-88歳),観察期間中央値1686 日(112-4510日),手術は全例腹腔鏡もしくはロボット支援下で行い,肛門温存は117例,一時的回腸人工肛門を造設したのは74例であった.リンパ節転移は28例(24 %)認め,原病死は1 例,再発は5例,肝転移3例,リンパ節1例,局所再発1例を認めた.単変量解析では,腫瘍径10 mm以上(P = 0.04)およびリンパ管侵襲陽性の症例(P = 0.006)では,リンパ節転移陽性が有意に高かった.一方,静脈侵襲および深達度,Grade分類では有意差を認めなかった.これらの多変量解析でも同様に腫瘍径およびリンパ管侵襲がリンパ節転移のリスク因子であった(共にP = 0.006).
【考察】
直腸NETのリンパ節転移のリスク因子は腫瘍径およびリンパ管侵襲であった.直腸NETの手術では一時的な回腸人工肛門が必要な症例も多く,肛門機能の低下を招く可能性があるため手術適応に対し更なる検討が必要である.