Presentation Information
[P31-5]当院における側方リンパ節転移陽性に対する術前化学療法の治療成績
大原 信福, 鄭 充善, 辻村 直人, 西田 謙太郎, 森 総一郎, 吉川 幸宏, 石田 大輔, 玉井 皓己, 浜川 卓也, 瀧内 大輔, 辻江 正徳, 岩崎 輝夫, 赤丸 祐介 (大阪ろうさい病院外科)
【はじめに】本邦での進行下部直腸癌に対する標準治療はupfrontの手術療法であるが、局再発と遠隔転移の制御には課題が残る。側方郭清を行わない欧米では、術前化学放射線療法が積極的に行われてきたが、近年、局所再発リスクが低い症例に対する術前化学療法のエビデンスが蓄積されつつある。しかしながら、局所再発リスクが高い症例に対する術前化学療法の有効性は明らかではない。今回、局所再発の可能性が高いと考える側方リンパ節転移陽性症例に対する術前化学療法の治療成績について後方視的に検討した。
【対象と方法】2010年1月から2022年3月までに、術前に側方リンパ節転移陽性、遠隔転移のない進行直腸癌と診断し、術前化学慮法を施行後に手術療法を施行した症例を解析対象とした。
3年無病生存期間(DFS)を主要評価として、ほか化学療法副作用、奏効率、術後合併症、再発の有無と再発形式、3年局所無再発生存期間(LPFS)、5年生存期間(OS)などを検討した。
【結果】対象は17例で、年齢中央値は61歳(35-77)、男性15例、女性2例であった。術前化学療法は15例で完遂した。Grade3以上の副作用を2例に認め、それぞれが化学療法の中止理由となった。奏効率は76.5%で、ダウンステージは47.1%で得られた。手術療法は全例でR0切除が得られ、Clavien-Dindo Grade 3以上の術後合併症は4例に認めた。組織学的治療効果判定は、Grade1が10、Grade2が4、Grade3が1であった。再発は5例に認め、局所再発は2例に認めた。3年DFSは70.1%、3年LPFSは85.7%、5年OSは87.4%であった。
【考察】局所再発リスクが高い進行下部直腸癌に対する術前化学療法は、エビデンスに乏しく、とりわけupfrontの手術療法と比較した臨床試験はない。当科での治療成績も手術療法と比較したものではないが、有効性を示唆する結果であったと思われる。一方でGrade3以上の副作用もみられ、術前化学療法を施行する場合は安全性の配慮と、患者の十分な理解が必要である。
【対象と方法】2010年1月から2022年3月までに、術前に側方リンパ節転移陽性、遠隔転移のない進行直腸癌と診断し、術前化学慮法を施行後に手術療法を施行した症例を解析対象とした。
3年無病生存期間(DFS)を主要評価として、ほか化学療法副作用、奏効率、術後合併症、再発の有無と再発形式、3年局所無再発生存期間(LPFS)、5年生存期間(OS)などを検討した。
【結果】対象は17例で、年齢中央値は61歳(35-77)、男性15例、女性2例であった。術前化学療法は15例で完遂した。Grade3以上の副作用を2例に認め、それぞれが化学療法の中止理由となった。奏効率は76.5%で、ダウンステージは47.1%で得られた。手術療法は全例でR0切除が得られ、Clavien-Dindo Grade 3以上の術後合併症は4例に認めた。組織学的治療効果判定は、Grade1が10、Grade2が4、Grade3が1であった。再発は5例に認め、局所再発は2例に認めた。3年DFSは70.1%、3年LPFSは85.7%、5年OSは87.4%であった。
【考察】局所再発リスクが高い進行下部直腸癌に対する術前化学療法は、エビデンスに乏しく、とりわけupfrontの手術療法と比較した臨床試験はない。当科での治療成績も手術療法と比較したものではないが、有効性を示唆する結果であったと思われる。一方でGrade3以上の副作用もみられ、術前化学療法を施行する場合は安全性の配慮と、患者の十分な理解が必要である。