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[P32-4]結腸直腸腫瘍手術に対する一時的回腸人工肛門造設における急性腎障害のリスク因子の検討

大坊 侑1, 諏訪 宏和1, 太田 絵美2, 田 鐘寛3, 諏訪 雄亮4, 小澤 真由美4, 渡邉 純5, 大田 洋平1, 野尻 和典1, 小野 秀高1, 吉田 謙一1, 熊本 宜文1 (1.横須賀共済病院, 2.藤沢市民病院, 3.横浜市立大学附属病院消化器・腫瘍外科学, 4.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 5.関西医科大学下部消化管外科学講座)
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【背景】
近年の外科手術技術の進歩及び術前放射線化学療法や術前化学療法を含めた集学的治療の進歩に伴い、低位における直腸もしくは肛門括約筋の温存ができるようになった。それに伴い結腸直腸手術の際に一時的回腸人工肛門を造設する症例が増えている一方で、急性腎障害(AKI)の発生が問題となっている。
今回我々は、結腸直腸腫瘍手術における一時的回腸人工肛門造設後にAKIをきたす予測因子について検討した。
【対象と方法】
2013年1月から2021年12月までに結腸直腸腫瘍に対して外科的切除を行った症例で、一時的回腸人工肛門を造設した466例を対象とした。AKIの基準については、KDIGO基準ステージ1以上(sCr 0.3mg/dl以上の上昇、またはsCrの基礎値から1.5倍以上の上昇)を認めた症例とした。予後規定因子として、年齢・性別・ASA-PS・BMI・喫煙・高血圧・心疾患・糖尿病・術前Hb・Alb・PNI・Ccr・HbA1c・手術時間・出血量・high output stomaについて単変量および多変量解析を行った。
【結果】
年齢中央値67.0歳、男性347例(74.5%)、女性119例(25.5%)であり、結腸癌34例(7.3%)、直腸癌418例(89.7%)、直腸NET13例(2.8%)、直腸平滑筋肉腫1例(0.2%)であった。AKIは101例(21.7%)で認められた。単変量解析において年齢70歳以上・男性・ASA-PS3,4・高血圧・心疾患・糖尿病・術前Hb13g/dl未満・Alb3.0d/ dl以下、PNI40以下、Ccr60ml/ min未満、high output stoma2000ml/day以上がAKIに有意に影響する因子として抽出された。多変量解析においてはAKIに有意に影響する因子として、年齢70歳以上・ASA-PS3,4・高血圧・high output stoma≥2000ml/dayが抽出された。
【結論】
結腸直腸腫瘍手術に対して一時的回腸人工肛門を造設する際に、年齢70歳以上・ASA-PS3,4・高血圧の患者に対しては可能な限りHOSを回避する必要があり、さらには術前に横行結腸人工肛門造設の検討を要する。