Presentation Information
[P34-5]局所麻酔下でのseton法にて改善したストーマ瘻孔・皮下膿瘍の1例
山崎 裕人, 吉田 貢一, 田畑 敏 (砺波総合病院大腸・肛門外科)
ストーマ瘻孔は1.5~15%に発生する比較的頻度の高い晩期合併症と報告されているが, 皮下膿瘍を併発し外科的に介入した症例の報告は少ない.今回局所麻酔下でのseton法にて改善したストーマ瘻孔・皮下膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は70代の女性,50代で肛門管癌の診断で後方骨盤内臓全摘術・S状結腸人工肛門造設術施行、経過で膀胱瘻や右腎瘻が造設されている. さらに50代で膀胱瘻逸脱による腹膜炎に対してドレナージ術、70代で絞扼性イレウスに対して小腸部分切除術など、複数回の手術既往がある. また昨年より慢性腎不全にて血液透析が導入された.
今回ストーマからの下血にて予約外受診, パウチ内には暗赤色の血液が貯留しており, ストーマ周囲の膨隆を認めた. ストーマの色調は良好で, 腹膜炎を疑う所見は認めなかった. 腹部造影CT検査では明らかな出血源は指摘できなかったが, ストーマ腸管は皮下にて便塊による拡張を認めた. 血液検査上Hbは8.8と軽度低下, CRPは8台と軽度の炎症反応上昇を認めた. 入院の上, 絶食, 補液と抗菌薬を開始したが, 第6病日にストーマ尾側の皮膚が自潰し便塊を伴う排膿を認めた. 挙上腸管の皮下での壊死・穿孔(ストーマ瘻孔)が疑われたが, 幸い腹腔内汚染を疑う所見はなく, バイタルも安定していた. 本人の背景や低栄養状態などを考慮し人工肛門再造設を行わず, 局所麻酔下でのseton法によるドレナージのみで経過観察していく方針とした.
十分な洗浄の上ストーマ瘻孔部及び皮下膿瘍部に計3本のloose setonを留置, ドレナージを開始した. ドレナージ後の経過は良好で, 第8病日より経口摂取を開始, 抗菌薬も終了した. ストーマ装具はseton挿入部分を含めて貼付することで問題なく管理できた. その後溢水による酸素化不良が遷延したため腎臓内科に転科となった.
本症例は透析患者で複数回の手術既往があり, 低栄養状態であった. 全身麻酔手術の合併症及びストーマ離開などの合併症の併発の可能性が高いと判断し,ストーマ再造設は行わず, seton法によるドレナージのみの対応で管理可能であった.
今回ストーマからの下血にて予約外受診, パウチ内には暗赤色の血液が貯留しており, ストーマ周囲の膨隆を認めた. ストーマの色調は良好で, 腹膜炎を疑う所見は認めなかった. 腹部造影CT検査では明らかな出血源は指摘できなかったが, ストーマ腸管は皮下にて便塊による拡張を認めた. 血液検査上Hbは8.8と軽度低下, CRPは8台と軽度の炎症反応上昇を認めた. 入院の上, 絶食, 補液と抗菌薬を開始したが, 第6病日にストーマ尾側の皮膚が自潰し便塊を伴う排膿を認めた. 挙上腸管の皮下での壊死・穿孔(ストーマ瘻孔)が疑われたが, 幸い腹腔内汚染を疑う所見はなく, バイタルも安定していた. 本人の背景や低栄養状態などを考慮し人工肛門再造設を行わず, 局所麻酔下でのseton法によるドレナージのみで経過観察していく方針とした.
十分な洗浄の上ストーマ瘻孔部及び皮下膿瘍部に計3本のloose setonを留置, ドレナージを開始した. ドレナージ後の経過は良好で, 第8病日より経口摂取を開始, 抗菌薬も終了した. ストーマ装具はseton挿入部分を含めて貼付することで問題なく管理できた. その後溢水による酸素化不良が遷延したため腎臓内科に転科となった.
本症例は透析患者で複数回の手術既往があり, 低栄養状態であった. 全身麻酔手術の合併症及びストーマ離開などの合併症の併発の可能性が高いと判断し,ストーマ再造設は行わず, seton法によるドレナージのみの対応で管理可能であった.