Presentation Information
[P35-6]病脳期間2年の17歳男性に生じた潰瘍性大腸炎関連大腸癌の1例
井上 透1,2, 葛城 圭1, 張 翔1, 植木 智之1, 西村 潤也2, 井関 康仁2, 福岡 達成2, 西居 孝文2, 渋谷 雅常3, 西口 幸雄2, 前田 清3 (1.守口生野記念病院外科, 2.大阪市立総合医療センター消化器外科, 3.大阪公立大学附属病院消化器外科)
(はじめに)潰瘍性大腸炎は長期経過に伴い、粘膜の慢性炎症病変を背景として発癌リスクが上がること知られており、前癌病変であるdysplasiaを含めた腫瘍性病変の累積発生率は10年で3.3%、20年で12.1%、30年で21.8%と報告されている。今回、潰瘍性大腸炎病悩期間約2年の17歳男性が潰瘍性大腸炎関連大腸癌を生じた症例を報告する。(症例)15歳(X-2年)にて下腹部痛と経度貧血を主訴に近医受診し、精査目的にて当院内科紹介となり、大腸内視鏡検査の結果、潰瘍性大腸炎(全大腸型)と診断された。メサラジン投与により症状軽快し、投薬及び定期的な大腸内視鏡検査を受けていた。X-1年の大腸内視鏡検査にて下行結腸に不整形隆起性病変を認め、生検をおこなうも、病理結果はinflammatory polyp (Group 1) であった。6カ月後の大腸内視鏡検査では病変の腫大を認め、生検にてAtypical gland(Group 2)を認め、要再検となり、X年の大腸内視鏡検査にて下行結腸の不整隆起性病変(5型)よりの生検にて、Mucinous adenocarcinomaの病理診断であり、消化器外科へ手術目的紹介となった。当院での潰瘍性大腸炎関連大腸癌の基本手術術式は大腸全摘+IAAまたはAPRとしている。炎症性腸疾患関連消化管腫瘍診療ガイドライン 2024年 においては、上部直腸癌や結腸癌症例においては、IAAがIACAより強く推奨されると記載されているが、IAAが体型的に困難な症例には、IACA+術後の内視鏡的サーベイランスという選択肢も認容されている。患者はBMI値30.5と肥満体形であり、年齢も考慮して、本人と家族に十分なICをとり、術式は大腸全摘術+IACA(+一時的回腸ループストーマ造設)とした。摘出標本の病理結果はMucinous adenocarcinoma, T2(MP),Ly0,v0,BD1,N0,であった。(考察)若年発症の潰瘍性大腸炎関連大腸癌の1例を経験したので、これまで当院で経験した、潰瘍性大腸炎関連腫瘍性病変(大腸癌症例8例およびDysplaia症例7例)と比較検討し、また若干の文献的考察も含め報告する。